電子顕微鏡でダイナミックな生命現象をとらえる!高圧凍結でアプローチ

いきものと顕微鏡

電子顕微鏡でダイナミックな生命現象をとらえる!高圧凍結でアプローチ

光速よりも速い速度で広がる生体電位

「電子顕微鏡と電気刺激」という新しいアプローチで、ミリ秒単位のダイナミックな生命現象を可視化した事例を、ジョンズ・ホプキンス大学医学部 渡辺 重喜先生にホワイトペーパーでご紹介いただきました。

膜ダイナミクスの解明への挑戦、「電気刺激と高圧凍結」がシナプスの機能を可視化する手法となる理由

細胞膜が脱分極し活動電位(興奮)が引き起こされるのに必要な時間はたった約1/1000秒です。この過程を支配するイオンのメカニズムは生命活動を可能にするものです。しかし、本当にこのプロセスを注目すべきものにしているのは、生体電位が光速より速い途方もない速度で広がることであり、このようなダイナミックな過程を捉えて分析することは小さなことのようですが、非常に重要です。

複雑でダイナミックな現象を理解するためには解釈の基準、つまり明確な時間分解能でイベントの同期点を持つ必要があります。この超高速のプロセスを正確に捉える唯一の方法は光刺激と高圧凍結を連携させることです。この「flash-and-freeze」はミリ秒の時間分解能で膜ダイナミクスを可視化できる手法だと証明されました。それは複雑な画像を理解しやすいフレームに分解するツールとなります…

高圧凍結なら大きな細胞や組織も微細構造を破壊せずに解析できる

神経シナプスにおける神経伝達因子放出の瞬間など、ミリ秒の膜ダイナミクスを可視化したい!その唯一の方法は「電気刺激と高圧凍結」を連携させること。ダイナミックな生命現象をパラパラ漫画のようにミリ秒単位の時間分解能で捉えることができます。著しい構造変化を誘発せずに、すべての細胞構成要素を保存することができるのは、凍結固定法ならではです。

電子顕微鏡用試料の前処理では、化学固定や脱水、置換の過程で細胞の微細構造が変化したり、可溶性成分が流出するなど、アーティファクトの出現が問題とされてきました。その解決策として提唱されているのが、凍結固定法です。微細構造の破壊は、水が凍る過程で結晶化により膨張し、細胞内に氷晶を形成する際に起こります。つまり、水を非晶質に凍結することができれば、電子顕微鏡観察に耐えうるだけの構造を保持することも可能になるわけです。

凍結手法には、大気圧下で試料を急速に冷却する急速凍結法と、2100 bar(210 MPa)の圧力下で凍結する高圧凍結法などがあります。とりわけ高圧凍結法では、約200μmの深さまで非晶質に凍結することができ、約5~20μmの深さを対象としている急速凍結法に比べて、植物等の大きな細胞や、組織レベルでの解析にも大いに役立つ手法とされています。

凍結状態の試料は、そのままクライオウルトラミクロトームで薄切して cryo-TEM で観察する(CEMOVIS)か、固定脱水後に樹脂包埋してから薄切して観察する(凍結置換法)ことができます。その他に、凍結試料を凍結切削した断面を cryo-SEM で観察する試みもなされています。CEMOVISでは高分解能観察が可能な反面、位相コントラストをえるため30~40nm程度の非常に薄い切片を作製する必要があり観察できるエリアが限られます。一方、切削面のcryo-SEM観察では広いエリアを一度に観察可能です。

凍結置換法はタンパク質の抗原性の保存が良いため免疫標識による免疫電子顕微鏡法や光・電子相関顕微鏡法(Correlative Light and Electron Microscopy; CLEM)にも広く用いられています。流行のSEMによる連続断面法と組み合わせることで3DでのCLEMが可能です。SEM連続断面法の1種であるArray Tomography法ではウルトラミクロトームを用いて作製した連続切片をガラスなどの基板上に回収し観察を行います。そのため、特別な設備が必要なく導入でき、CLEMとの相性が良いという利点があります。

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ジョンズ・ホプキンス大学医学部 細胞学科
渡辺 重喜先生
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