熊本大学発生医学研究所 リエゾンラボ研究推進施設

安永 桂一郎 先生(顕微鏡画像解析支援ご担当)

 

 

研究において「どんな機材を使うか」は成果に直結します。熊本大学発生医学研究所リエゾンラボ研究推進施設では、これまで主力だった共焦点レーザー顕微鏡 TCS SP8 に加え、新世代のイメージングマイクロハブ Mica を導入しました。両者は得意分野が異なり、それぞれの特性を活かして使い分けることで、研究の幅がぐっと広がっています。

 

 

共焦点顕微鏡の強み ― 高精細な三次元解析

TCS SP8は、従来から使われてきた共焦点レーザー顕微鏡で、極めて精密な画像を得られるのが特長です。特に細胞の内部構造を高解像度で三次元的に解析する際に力を発揮します。
一方で、撮影に時間がかかり、1つの試料を丁寧に観察しようとすると数日~1週間を要することもありました。そのため「じっくり細部を掘り下げたいときの道具」として使われています。

 

 

Micaの強み ― スピードと効率性

Micaは、最新の撮影システムを備え、TCS SP8の弱点を大きくカバーします。4色の蛍光を同時に撮影できるため、速度は従来比で約4倍。複数のスライドを短時間で処理でき、スクリーニング的に多数の試料を観察するのに適しています。
また、20倍程度の倍率でも、論文に十分掲載可能な画像が得られるほど画質が安定しており、「短時間で信頼できる画像を得たいときの道具」として研究者に重宝されています。

 

FluoSync技術による4色同時ライブ&取得の例。
FluoSync技術による4色同時ライブ&取得の例。
サンプル;【MDCK細胞】DNA(Hoechst、青)、ミトコンドリア(Alexa488、緑)、微小管(Alexa555、赤)
サンプル提供;Ralf Jacob教授、マルブルグ大学

 

 

MicaはTCS SP8と補完し合う存在

TCS SP8とMicaを使用する研究室では、「まずMicaで多数の試料をスクリーニングし、有望なデータを見つけ、その後SP8で詳細に掘り下げる」という流れが定着しています。
Micaは速くて効率的、TCS SP8は細密で正確――まるで広角レンズと望遠レンズのように、両者を組み合わせて使うことで、研究がよりバランスよく進められるようになったのです。

 

 

研究の流れ全体が変わる

この使い分けにより、実験の効率は大幅に改善しました。サンプルの準備に1週間かかるとしても、撮影や解析に費やす時間は以前より短縮され、得られるデータの質も高まっています。さらに膨大な画像データをAIや統計ソフトで解析することで、細胞の状態や遺伝子の働きを立体的に理解できるようになりました。

 

①オーバービューを作成 ②目的の細胞を選択 ③細胞情報を取得 ④さらに詳細な細胞情報を取得
Mica1台で複数の観察モードを実現

 

 

今後の期待

Micaは、TCS SP8との使い分けによって、サンプル準備から解析結果取得までの時間の流れを大きく変えました。さらに、初心者や学生にとって安全で扱いやすい入門機として機能し、段階的なスキル習得を支援する役割も果たしています。
TCS SP8とMicaは、単なる世代交代ではなく、それぞれの強みを活かしながら研究を支える「相棒」として共存し、今後もその運用が進化していくと考えられます。

 

 

 

 

イメージングマイクロハブ
Mica

Micaは、単なる高度な自動化された顕微鏡ではなく、サンプルを保護し、インキュベートする環境で、広視野と共焦点のイメージングを一体化しています。 ボタンを押すだけで、蛍光イメージングワークフローを効率化し、有意義な科学的成果を迅速に得るために必要なすべてが揃っています。

Mica
2025/12/26 20:06

顕微鏡が変える研究のスピード ― TCS SP8とMicaの使い分けから見える未来


顕微鏡画像解析支援をご担当されている 安永桂一郎先生 にお話を伺いました。

「研究において、どんな機材を使うかは成果に直結します」と語る安永先生。熊本大学様では、従来の共焦点顕微鏡 TCS SP8 に加え、次世代イメージングマイクロハブ Mica を導入されました。Micaは4色蛍光を同時撮影でき、従来比約4倍のスピードで多数試料を効率的にスクリーニング可能にします。共焦点レーザー顕微鏡 TCS SP8との組み合わせにより、「広くスクリーニングから詳細解析へ」という新しいワークフローが確立し、実験効率とデータ品質が大幅に向上しました。本記事ではMica導入による研究効率化と新しいワークフローの可能性についてのお話しをおまとめしました。