標本作成・サンプル調整
A1:「フォイル」とは、プラスチック素材を薄く延ばした膜を意味します。「フォイル付きスライド」とは、スライドガラスにフォイルを貼りつけたもの、「フォイル付きフレーム」とは、金属フレームにフォイルを張ったものにになります。
A2:カッコ書きのアルファベットは、フォイル素材の名称です。
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PEN :Polyethylene Naphthalate (ポリエチレン ナフタレート)> 最もポピュラー、明視野観察向き。素材が粗面の為、切片や細胞の貼りつきが良い。核酸を対象とした実験に最も多く使用される。質量分析にも使用可能※
PET :Polyethylene Terephthalate (ポリエチレン テレフタレート)> プラスチック可塑剤が少なく、質量分析にも使用可能※
PPS :Polyphenylene Sulfide (ポリフェニル スルフィド)> PEN とほぼ同様の用途に加えて、自家蛍光が少なく蛍光観察向き
POL :Polyester (ポリエステル)> 比較的平滑面の為、染色体標本向き
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※質量分析をされる場合は、まず PEN フォイルでお試しください。
A3:厚みがあるフォイルは、回収する対象物が小さい場合にご使用ください。厚みがある分より落下しやすくなっております。ただし厚みがある分使用できる機種は、LMD7 と LMD7000 に限られます。
A4:質量分析では、「フォイル付フレーム 1.4μm(PET)」が推奨されますが、「フォイル付スライドグラス2.0μm(PEN)」も可能と思われます。もし回収した対象物のピークが重なるようでしたら、特殊な「DIRECTOR スライド」をご検討ください。
A5:まずは、予備実験としてサンプル厚を3段階(例、5um、10um、15um)と染色時間を3段階に振った計9枚のスライドを作成して条件を比較するのが良いです。
A6:可能です。ただし周辺環境によりバッファーが乾燥する場合がありますので、事前にご確認頂いた上で長時間にわたっての回収はお避けください。またバッファー量ですが、0.5mlPCR チューブがおおよそ 50~60μL で 0.2mlPCR チューブが 20~30μL くらいもしくは、チューブキャップ底面が液で覆われる量が目安です。
A7:染色工程が少ないトルイジンブルーを推奨しています。すでにお使いの染色方法を使用することも可能です。
A8:はい、可能です。ですが、染色していない分、レーザでのカッティングがむずかしくなるので切片厚を5um以下にすることをお勧めしています。
A9:はい、可能です。通常の蛍光顕微鏡で観察できる明るさであれば「フォイル付フレーム 4.0μm(PPS)」を お選びください。微弱な蛍光の場合は、「蛍光用フォイル付フレーム 1.1μm 5 枚」をお勧め致します。
A10:パラフィン包埋切片は、貼りつきが良く無い場合がありますので、Poly-L-Lysine等コーティング剤でコートしてください。その他、BSA溶液にスライドを浸す等の方法でも良好な結果が得られています。 例)Poly-L-Lysine(SIGMA, P8920);フォイルに1滴滴下し、薄く伸ばして乾燥してご利用ください。
A11:サンプルをしっかりと乾燥させてください。そうすることでカット後の回収が効率的になります。
A12:一般的に、①有機溶媒による固定と②ホルマリンもしくはパラホルムアルデヒドによる固定があります。
①アセトン固定、エタノール固定、メタノール固定などがあります。組織内のタンパク質を凝集させて固定することと同時に、脱脂の効果が得られます。
②核酸やタンパク質を互いに共有結合で架橋し固定します。
A13:Axygene 社 PCR チューブで品番が「PCR-05-C」と「 PCR-02-C 」を推奨しています。
A14:はい、可能です。購入に関しては、直接、希望者自身が直接 SECTION-LAB の「川本 忠文先生」宛てに問合せ下さい。(e-mail: info@section-lab.jp)
A15:実験に差支えない範囲で、有機溶媒(アセトン、エタノール等)で脂肪を落としてください。ただし脂質の多い組織の場合、過度な脂肪除去は組織形態の崩れに繋がりますのでご注意ください。
A16:乾燥していただくことでカッティング効率が良くなります。原則として乾燥したサンプルをご用意ください。