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デジタルマイクロスコープは、普通の顕微鏡と何が違うのか?どんな場合に使うのか?
今回はこのような疑問にお答えし、デジタルマイクロスコープの特性や活用分野、およびライカDMS1000の機能や画像をご紹介します。
デジタルマイクロスコープとは?
Digital microscope、直訳すれば「デジタル」な「顕微鏡」。この顕微鏡は、他の顕微鏡と何が違い、どんなときに使用されるのでしょうか。
光学顕微鏡とデジタルマイクロスコープは何が違う?
デジタルマイクロスコープは、光学顕微鏡の1種です。対物レンズを使って、試料の拡大像を顕微鏡の鏡筒(チューブ)内に投影する、という機構は光学顕微鏡と同じです。
しかし、画像の見かたは異なります。光学顕微鏡は「接眼レンズを覗いて見る」、デジタルマイクロスコープは「モニターで見る」のです。
光学顕微鏡は、対物レンズと接眼レンズの組み合わせにより、光学的に拡大して肉眼で観察します。ただし、カメラを接続して画像をモニターに映したり、PCとソフトウェアによって画像をディスプレイ上で分析することは可能です。
デジタルマイクロスコープは、対物レンズを通した拡大像をカメラでデジタル投影し、モニターやPCで観察します。
どんなときにデジタルマイクロスコープを選ぶ?
では、何を基準にして、光学顕微鏡/光学顕微鏡+モニター/デジタルマイクロスコープのいずれにするかを選択すれば良いのでしょうか。以下の表では、その選択基準をニーズ別にご紹介しています。
デジタルマイクロスコープの特性
上記の表でご紹介したように、デジタルマイクロスコープには「1台で幅広い倍率をカバー」「誰でも・クイック・簡単」「多人数での画像同時観察(=迅速な意思決定)が可能」といった特性があります。この特性を活かすことが、デジタルマイクロスコープの導入・運用を成功させるカギとなります。
デジタルマイクロスコープは「現場」が得意
製造業においては、以下のような部門で光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープが使用されています。
(1) 研究・開発部門での基礎研究
(2) 製造部門での外観検査・異物検査
(3) 品質管理部門における不良・故障の検査・解析
このうち、デジタルマイクロスコープの特性がより活かされるのは(2)と(3)、つまり、製造に近い「現場」での「検査」です。
「1台で幅広い倍率をカバー」するので、多様な試料・検査に1台で対応でき、省スペースに役立ちます。コンパクトなので、移動させることも可能です。
また、「誰でも・クイック・簡単」「多人数での画像同時観察が可能」なので、検査→意思決定→製造ラインへのフィードバック、といった一連の作業が迅速に行えます。
デジタルマイクロスコープの活用分野
デジタルマイクロスコープは、製造業における様々な分野で活用されています。ここでは、そのうちのいくつかをご紹介します。
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- 自動車部品の製造:自動車に使用される金属部品の切削加工・研磨・表面処理において、外観検査に使用されています。
- 半導体・MEMS・液晶ディスプレイ等の製造:ウェハーをダイシング(切り出し)し、基盤にマウント・ボンディングした後の製品検査・信頼性評価試験において、外観検査に使用されています。
- 化学・食品・製薬などの研究開発や製造:原料受け入れ時やパッケージング時の外観検査・異物検査、および品質管理における外観検査・異物検査に使用されています。
特に食品・製薬の分野では、カビ、菌、虫、髪の毛、繊維などの異物の拡大写真を残すニーズが増えています。 - 微細な異物・コンタミ・汚染の測定:自動車・航空・医療などの先端技術分野においては、微細な異物・コンタミ・汚染の管理の要求が高まっています。製造プロセスから混入する異物は、品質と信頼性に深刻な影響を及ぼすことがあるからです。洗浄液や薬液を通したメンブレンフィルタ上に残った異物の検査に使用されています。
- 宝石・金属加工:加工時に発生した傷や打痕などの不具合を写真撮影するのに使用されています。ただし、試料の反射率が高く、ギラツキも多いため、撮像の難易度が非常に高いという問題があります。この問題は、適切な照明やフィルタ等のパーツを組み合わせることにより解決されます。
デジタルマイクロスコープDMS1000の特長
ライカのDMS1000は、高い性能とシンプルな機能を併せ持つデジタルマイクロスコープです。
最高級レンズと各種光学性能
試料の色・形・表面形状・寸法・質感を、デジタル画像として忠実に再現します。
- 最高級プランアポクロマートレンズを使用、明るくシャープな画像が得られます。
- ズーム倍率を変えても、常に最適な明るさに自動調整するFlexAperture™機能を搭載しています。
- ズーム時、どんな倍率でも無段階にスケールが連動します。スケールバーの挿入ミスは生じません。
- ハレーションやギラツキが多いサンプルも、偏光パーツを使用することにより、綺麗な画像を得られます。
シンプルな機能と拡張性
DMS1000の標準機能はとてもシンプルですが、PCや各種オプションを組み合わせて機能を拡張することができます。
以下の機能は、PCなし(スタンドアロン)でも使用できます。
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- HDMI出力により、ライブ映像を外部モニターに直接出力できます。
- 静止画ファイル、動画ファイルをSDカードに直接取り込めます。
- リモコン操作により、オートスケール機能によるスケール挿入、およびホワイトバランスなどのカメラ調整ができます。
PCありの場合は、上記に加えて、ソフトウェアによる画像解析機能を使用できます。
- 2D測定:オートスケール機能で、どの倍率でも距離、面積、周囲長などが測定できます。
- 深度合成:破面や複合部品など、高さがあるためピントがボケてしまうサンプルでも、フォーカス調整ダイヤルを回すだけで全焦点画像を生成できます。
- 画像連結:視野内に収まらない大きさの試料は、試料を移動させて撮影すると、画像の重なり部分をパターンマッチング処理で自動認識して、連結画像を生成します。
また、多彩なオプションによる高い拡張性も備えています。設置環境、ワーク形状、作業性に応じた各種スタンド、アーム、ステージが用意されており、大型サンプルにも対応できます。
照明についても、リングライト、ニアバーチカル、フレキシブルアーム、透過光などを試料に応じて選択できます。
DMS1000の画像例
デジタルマイクロスコープDMS1000による観察画像をご紹介します。
ハレーションを起こしやすいボールペン先端
偏光フィルタを用いることにより、金属面のハレーションを、画像処理に頼らず光学的に抑えることができます。
丸みと光沢がある試料
丸みがあってリングライト照明が映り込んでしまうような試料も、偏光フィルタを使用することにより、照明の映り込みを除去できます。
10円硬貨のマクロ~ミクロ観察
DMS1000の対応倍率範囲は6.5~326x(24インチモニター全画面表示の場合)、マクロ~ミクロの幅広い観察に対応しています。
マクロ観察の場合は、0.32x対物レンズ使用で、横82㎜×縦46㎜の視野をワンショットで撮影できます(HDモード使用時)。
ミクロ観察の場合は、2.0x対物レンズ使用で、40.8~326xでの観察が可能です。微細な傷、クラックなどの観察に最適です。
デジタルマイクロスコープの特設サイトでは、さらに多くの画像を紹介しています。併せてご覧ください。
- デジタルマイクロスコープ
- DMS1000
DMS1000は、HDMIモニターを使用して高精細フルHD画像をライブ表示するデジタルマイクロスコープです。接眼レンズを覗かなくても、試料をモニター上でクリアに観察・撮影することができます。試料のオーバービューから微細構造の観察まで、ライカ独自の光学技術により300倍まで拡大可能。内蔵型HDカメラは、最大30fpsの高速フルHDライブ表示、および500万画素の静止画の撮影を実現しています。1台あたりのコストパフォーマンスが高いので、複数の工場・拠点への導入を考えているお客様にもお勧めです。