ライカでは、「共焦点レーザ顕微鏡」や「THUNDERシステム」を購入頂いている方々を対象に画像解析のコンサルティングを行っています。
画像解析のコンサルティングとは、弊社の基幹ソフト「LAS X」で取得した画像で解析を行いたい方に、「ImageJ」、「MetaMorph」、「Imaris」などの解析ソフトと解析方法をご提案しています。
今回は、その中でも手軽に始められる「ImageJ Fiji」の使い方を説明しながら画像解析の基礎を説明していきます。ブログの中にプレゼン動画も入れながら、できるだけ初心者でも解りやすく解説していきますので、これから画像解析を始めてみたい方必見です!
第1回目は、画像解析を始める前に考えて頂きたいことをお話しさせて頂きます。
→ 第2回 -ファイルを読み込んで二値化から解析結果を出力する-
1.初心者が画像解析を始める時のつまずき
ダウンロードしたものの・・・
昔と違い顕微鏡データの扱いが様変わりしています。特に最近の研究論文等では、定量的な観点から細胞のカウントや面積、または蛍光による相対的な輝度比較による評価が必要不可欠です。そこで必要となってくるのが画像解析ソフトです。まずは画像解析をフリーソフトで始めてみようと検討した時に、多くの研究者が「ImageJ」行き着きます。
「ImageJ」は今や世界中の多くの研究者が使用するツールとなってます。フリーソフトで簡単にダウンロードして始められるので敷居も低いですが、その使い方は人それぞれで、決まった使い方やマニュアルが存在するわけではありません。また画像データは読み込めても、コマンドがいっぱいありすぎて初心者にはチンプンカンプンとなります。
多くの初心者が「ダウンロードしたものの、何から始めて良いかわからない」と頭を抱えいるのです。
2.画像解析をする前に考えておくこと
何を解析するのか?
じゃダウンロードした先をすぐに教えて欲しい!と思っている方も多いと思いますが、そこは順番に説明していきたいと思います。
画像解析を始める時にあなたは何から準備しますか?サンプルの準備?顕微鏡の選択?解析ソフトのインストール?それらももちろん必要ですが、まずは自分が「何を解析するのか?」と考えてみてください。
「何を」という部分は、「組織切片の面積を解析したい」、「細胞数カウントをしたい」または「蛍光の輝度を解析したい」といったことになります。
このことに自分も気が付いたのは、解析を依頼された先生との会話の中でした。
と答えが返ってきました。
始めに解析したい対象は決まってない場合もあるかもしれません。
ですが「何を解析するか?」を決めとくと、その先の解析方法や顕微鏡の取得条件が定まりやすいのも事実です。
解析内容が決まったら
では解析方法と顕微鏡の取得条件についてお話します。解析方法は次回以降から徐々にお話しするとして、今回は顕微鏡の取得条件についてお話します。
取得条件のポイントは大きく分けて3つあります。
- 階調は、8bitそれとも12bit、16bit?
- 取得時の顕微鏡の倍率と解像度は?
- 顕微鏡の検鏡方法は?
まずは「階調は、8bitそれとも12bit、16bit?」を説明しますが、ここからはより理解を深めて頂くために音声付きプレゼン動画でご説明しますので、イヤホンなどでの視聴をおすすめします。
続いて「取得時の顕微鏡の倍率と解像度は?」について次のプレゼン動画をご覧ください。
最後に「顕微鏡の検鏡方法は?」についてご説明します。ここでの「検鏡方法」とは、観察方法である「明視野観察」、「位相差観察」、「蛍光観察」と多次元画像取得方法である「Zスタック」、「タイリング」、「タイムラプス」などを含んだ意味です。それを踏まえて次のプレゼン動画をご覧ください。
取得データの保存形式は?
これで顕微鏡の条件を検討できるようになったと思いますが、ここでもう一つ覚えて頂きたいのでが「取得データの保存形式」です。「tiff形式」や「jpeg形式」などいろんな保存方法がありますが、まずは顕微鏡メーカごとのオリジナルファイル形式で保存してください。我々ライカで言えば「.lif」ファイル形式で保存するのが一番よいです。それではその理由をプレゼン動画でごらんください。
3.まとめ
では今回の「まとめ」です。
- 解析したい対象物について考えてみましょう。
- 顕微鏡の取得条件を見直してみる。
- 保存方法は、顕微鏡メーカごとのオリジナルファイル形式で。
画像解析を始められる前には、これら3点を覚えて頂ければと思います。
次回は「ImageJ Fiji」を使用して説明を始めていきます。
→ 第2回 -ファイルを読み込んで二値化から解析結果を出力する-
- 蛍光顕微鏡向けデジタルイメージャー
- THUNDER
蛍光顕微鏡で画像を取得する際に発生してしまう、蛍光「ボケ」を徹底的に取り除き、驚くほどシャープでクリアな画像を得ることができる最新鋭のイメージングシステムTHUNDER。複雑な挙動を示す生体サンプルの蛍光ボケさえも、リアルタイムに分離・除去します。培養細胞からモデル生物まで、幅広いサンプルを「超」高精細に観察することができ、これまでのソフトウェアやハードウェアよりもアーティファクトの無い画像を素早く、簡単に取得できるのが特徴です。