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インダストリー 2019.02.22

偏光観察法の基礎知識/ガラス、プラスチック、ポリマー、医薬品、繊維の観察にも有用とされる偏光顕微鏡とは

偏光顕微鏡 DM750 P/DM2700 P/DM4 Pのカタログはこちら

偏光顕微鏡の織りなす世界~光のイメージング~はこちら

 

偏光顕微鏡の基礎知識 ~用途・特徴について~

偏光顕微鏡は、観察対象物(試料)に偏光を当てて観察する顕微鏡で、光学顕微鏡のひとつです。鉱物や岩石の結晶を観察するために使われてきた観察手法ですが、現代では、鉱物に限らず高分子化学、バイオテクノロジー、液晶などの開発現場、環境調査など様々な分野で活用されています。ここでは、偏光顕微鏡の基本的なしくみや使い方を解説します。

 

偏光顕微鏡とは?

偏光顕微鏡は、物質の偏光や複屈折といった特性を、明暗や色の違いとして捉え、観察できるようにしてくれる顕微鏡です。 太陽や電灯の光のように、光波が全方向に振動しているものを「自然光」と呼ぶのに対し、光の波が特定方向にだけ振動している光が「偏光」です。偏光には、振動方向が一直線上に限られる「直線偏光」、円を描く「円偏光」など、いくつかの種類があり、自然光が特定の結晶や光学フィルターを通過するとき、光の振動に規則性が生まれ偏光が得られます。 また、光の波動は、大気中から水中へ入るときのように異なる物質の境界を通過する際、進行方向が変化します。これが屈折です。水中の棒が上に曲がって見えたり、川底が実際より浅く見えたりするのは光が屈折するためです。物質によっては、光が2つの方向に折れ曲がることがあり、これを複屈折と呼びます。 偏光特性や複屈折特性を観察することで、岩石の成分を特定したり、プラスチックの結晶構造の状態やひずみを確認したり、物質の様々な情報を得ることができます。しかしながら、そういった光の特性は、人間の目で見ることが難しいため、偏光顕微鏡を使って、偏光特性や複屈折特性を色の変化や明暗に置き換えて観察します。

 

偏光顕微鏡の特徴

偏光顕微鏡は、偏光を試料に当てて、固有の偏光や複屈折の特性を観察する画期的な技術です。試料を置いたステージを回転させると、複屈折特性のある部分が45度ごとに暗く見えたり(消光位)明るく見えたり(対角位)する形で現れるので、複屈折特性を色の変化に置き換えて観察することができます。岩石などの結晶や、生物の細胞の結晶構造などが鮮やかな色で写し出され、これらを視覚で観察することができます。

 

偏光顕微鏡での観察方法

観察手法には、対象物を垂直に通る偏光を用いて複屈折の特性を観察する「オルソスコープ」という方法と、コンデンサーを入れて作った様々な方向からの光を試料に照射したときに発生する縞模様の光(干渉像)を観察する「コノスコープ」という方法があります。偏光顕微鏡観察という場合、一般的にはオルソスコープのことを指します。 オルソスコープ観察において、ポラライザーのみを使用して、アナライザーを入れずに観察する方法はオープンニコル(開放ニコル)と呼ばれています。オープンニコルでは、鉱物の形状、色、屈折率、多色性などが観察できます。 アナライザーを入れた場合には、2つの偏光板で光源が遮断されるため、試料がない場合の視野は暗黒になります。この状態で試料を観察するのがクロスニコル(直交ニコル)です。試料を入れると、試料を透過した光が屈折し、アナライザーを通過できる波が現れるため、視野に鉱物が現れるようになります。クロスニコルでは、複屈折で生じる「干渉色」や、試料の色が暗く見えたり明るく見えたりする「消光」を観察することができます。 コノスコープ観察では、偏光用のコンデンサーレンズと、ベルトランレンズを使います。ベルトランレンズは、アナライザーと接眼レンズの間に置く凸レンズで、発生する縞模様の光の像を拡大して接眼レンズに送る役割があります。

 

偏光顕微鏡の用途

偏光顕微鏡は、もともと岩石や鉱物の結晶構造を観察して、岩石の組成やその中に含まれる鉱物を同定するために利用されていました。現代では光学性能が向上し、微小な複屈折の測定が可能になったため、ガラス、プラスチック、ポリマー、医薬品やその原材料である高分子素材、繊維などの研究にも用途が広がっています。機能性フィルムをはじめとするさまざまな製品の品質管理や、各種材料の基礎研究開発の研究ツールとして広く使われています。

 

偏光顕微鏡の構造原理~各部分の機能~

偏光顕微鏡も、対物レンズや接眼レンズ等の基本的な構造は一般的な光学顕微鏡と同じですが、偏光板がついている点が通常の光学顕微鏡との大きく違います。 普通の光学顕微鏡では、下部の光源と試料の間にコンデンサーが置かれていますが、偏光顕微鏡では、そこに偏光板が挟まれています。また、対物レンズと接眼レンズの間にも偏光板が置かれています。 下部の偏光板は自然光を偏光に変えるために使われるポラライザー(偏光子、偏光ニコル)で、対物レンズと接眼レンズの間に置かれる偏光板は光の偏光状態を調べるアナライザー(検光子、分析ニコル)です。アナライザーは、ポラライザーを通過した偏光の振動面と直角に交わる光だけを通過するようになっており、観察目的に合わせて出し入れや回転が可能です。ちなみに、この「ニコル」という名称は、方解石を使った偏光プリズムを発明した19世紀の英国物理学者ウィリアム・ニコルに由来しています。 偏光顕微鏡には、複屈折特性などを観察するため回転ステージが通常装備されており、この点も一般的な光学顕微鏡とは異なっています。一般的に使われる透過型のほか、反射光で試料を照らす反射型、透過型と反射型が一体になったタイプがあり、フィルムや樹脂など透明な試料は透過型で、鉱物などの光を通さない試料は反射型で観察します。 まとめ 観察方法が難しいと思われがちな偏光顕微鏡ですが、実は、鉱物の観察や同定はもちろん、高分子物質の微細構造の研究や、高性能・高機能ポリマーとして期待される液晶高分子の研究などに欠かすことのできない顕微鏡です。

エントリー・教育実習用偏光顕微鏡
Leica DM750 P
ルーチン検査用偏光顕微鏡
Leica DM2700 P
高性能・電動制御偏光顕微鏡
Leica DM4 P

鉱物・岩石、ガラス、プラスチック、ポリマー、医薬品、繊維などの物質特性の観察に
Leica の偏光顕微鏡

金属顕微鏡に偏光レンズや偏光板などを組み合わせた顕微鏡。物質の偏光や複屈折といった特性を、明暗や色の違いとして捉えて観察することが出来るようになります。偏光顕微鏡は観察方法が難しいと思われがちですが、Leica の偏光顕微鏡なら、シンプルなステップで正確な結果が得られます。ワークショップも開催していますので、お気軽にお問い合わせください。

偏光顕微鏡

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