ものづくりのための蛍光顕微鏡観察事例/プリント基板のイオンマイグレーション発生箇所を蛍光顕微鏡で正確に評価する

ものづくりと顕微鏡

ものづくりのための蛍光顕微鏡観察事例/プリント基板のイオンマイグレーション発生箇所を蛍光顕微鏡で正確に評価する

層の前後関係やイオンマイグレーションの成長形態がわかりやすい

蛍光観察が可能なライカの実体顕微鏡 Leica M205FA で、プリント基板のイオンマイグレーションを撮影した様子です。蛍光観察によって、非常に鮮明なコントラストを得ることができるため、ガラスエポキシ基板の表層および内側に発生したイオンマイグレーションの状態を、非破壊で正確に評価することができます。

イオンマイグレーションの成長形態

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蛍光物質は、ある特定の波長の光を吸収して「励起状態」となり、その直後に別の波長の光を放出する、という特徴があります。その特性を活かして、試料に特定の波長域の励起光を照射し、その際に発せられる蛍光を観察することができるのが Leica M205FA です。一般的な実体顕微鏡と同様の使い勝手で観察を行うことができ、特別な試料調整を行う必要もありません。

Leica M205FA は、作業スペースが 61.5mm と広く、基板のような大きなワークにも最適です。また、倍率範囲も最小7.8倍から最大160倍と広いため、基板の全体像から微細部まで、焦点が合った状態を保ったままシームレスに倍率の切り替えを行うことができます。画像連結ソフトウェアと組み合わせて、高解像で基板の全体像を記録することも可能です。焦点深度が深く、解像度と立体感のバランスに優れたライカの実体顕微鏡は、奥行き感が肉眼の感覚に近く、快適に作業を行うことができます。

プリント基板のイオンマイグレーション観察
試料に特定の波長域の励起光を照射し、その際に発せられる蛍光を観察します。特別な試料調整は必要ありません。
イオンマイグレーションの観察にも最適な蛍光実体顕微鏡
プリント基板のような大きなワークにも最適です。基板の全体像から微細部までシームレスに倍率を切り替えることができます。

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技術の進歩とともに複雑化する電子部品の劣化要因

劣化要因の発生理由は、技術の進歩と深く関係しています。イオンマイグレーションも、部品の小型化や使用材料の変化によって発生頻度が高まっている劣化要因の一つで、イオンマイグレーション評価は、信頼性評価手法として近年ますます重要視されています。

イオンマイグレーションは、電界の影響によって金属のイオン化がおこり、金属や化合物が溶け出してしまう現象です。水分のある環境で、電圧が印加された際に発生するため、湿度の高い場所や、結露のあるときにはイオンマイグレーションが起こりやすくなります。金属の溶解速度は、電界強度の増大とともに加速するため、電極間隔が挟ピッチ化された、電圧強度の高い高密度実装の半導体や基板では、イオンマイグレーションの発生頻度が一層高まります。

どんな金属材料を使用してもマイグレーションは発生しますが、金属の種類によって、発生頻度が変わります。近年は、コストパフォーマンスの改善や鉛フリー化に対応するための研究が進み、銅や鉛といった比較的扱いやすい導体金属に加えて、銀などの材料も広く活用されるようになってきました。銀は、銅や鉛、スズなどに比べてイオンマイグレーションが発生しやすい性質があります。

部品の高密度実装化に対応した信頼性評価が必要とされている

電子機器は、近年、小型軽量化・高機能化のニーズが非常に高まっており、部品の高密度実装化が推進されています。しかし、急速な高機能化・高密度化が進む開発状況においても、製品の品質はきちんと保証されなければならず、信頼性評価の重要性は高まる一方です。特に、車の制御システムのようなケースでは、電子制御機器の信頼性が自動車全体の信頼性に及ぼす影響は重大です。電子デバイスやECU(Electric Control Unit)などユニットの耐久性は、温度、湿度、振動、雨水、電圧変動など、使用環境のさまざまな影響を受けるため、製造段階のみならず、開発設計の段階から、高密度実装化に対応した信頼評価が求められています。

機器の故障は、使用条件によってさまざまな要因が考えられますが、多くの場合は、潜在的な劣化要因が、外部の環境条件によって誘引・加速されることによって引き起こされます。高密度実装化が進み、モジュール化された実装部品や、基板と一体化した部品が増えたため、パーツごとの評価に加えて、モジュールとしての信頼評価も必要不可欠となってきました。

きめ細やかな試験を迅速に行うことが求められている

複合的な構成部品を評価する際には、いくつもの劣化要因が同時に現れることが多いため、どの層でどのような劣化が起こっているのかを正確に把握することが大切です。劣化の発生箇所は、ごく一般的な光学顕微鏡で観察することが出来ますが、基板内層や部品内部の劣化を観察したり、劣化の状態を適切に評価するためには、多くの手間と経験が必要とされます。

複数の劣化要因がある場合には、どの劣化が、どのようなタイミングで、致命的な機能低下や故障を引き起こすと考えられるのかを的確に判断しなければなりません。同じ構成の部品であっても、実際の使用条件によって劣化要因の現れ方が違ってくるため、使用条件に留意した試験条件を設定して、故障がどの劣化に起因するのかを正しく評価することが重要です。

評価の精度は、サンプル数を増やすことで向上することができますが、信頼性評価に時間がかかり過ぎて開発スピードに追いつかない、という問題が起こりがちです。工程管理を見直し、製品品質のばらつきを減らすことができれば、サンプル数を必要以上に増やすこと無く、評価の精度を向上することも可能ですが、プロセスを根本から改善することは容易ではありません。

基本の顕微鏡観察を見直すだけでプロセスは向上する

信頼性評価における最も基本的なプロセスでありながら、改善が比較的容易な顕微鏡観察は、ちょっとした見直しを行うだけで評価精度とスピードの向上に大きく貢献します。
高密度実装部品のイオンマイグレーション評価のようなケースでは、蛍光観察という新たな手法を導入することで、観察者の経験の差によって起こる、評価精度やスピードのばらつきを解消します。他にも、最新の機能やオプティクスを搭載した顕微鏡を導入することで、顕微鏡画像からより多くの情報が得られるようになったり、これまでよりもシンプルな手順で素早く作業を行えるようになるなど、多くのメリットが挙げられます。

ご自身のサンプルに最適な顕微鏡や観察手法に関するお悩み・ご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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蛍光実体顕微鏡
Leica M205 FCA & Leica M205 FA

どのズーム比でも視野全体が均一に明るく見えるライカ自慢の光学系を搭載。拡張性をフルに活かした柔軟な設計になっているので、蛍光観察以外にも、さまざまな照明を使用して快適に透過観察を行ったり、実験条件に合わせて選べる豊富なアクセサリーを自由に組み合わせて使うことができます。

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