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実体顕微鏡観察事例/重要文化財の保存修理を専門に行う修理技術者集団
インダストリー 2015.01.30

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文化財の声を聴き最善の治療を施す

九州国立博物館の文化財保存修復施設に勤務する中村隆博さんは、ライカ 実体顕微鏡を使って国宝、重要文化財に指定されている大変貴重な美術品の修復を行っています。

 

修復技術者の仕事

中村さんは、国宝・重要文化財を中心とした文化財(美術工芸品)の保存修理を専門的に行っている修理技術者集団である、国宝修理装潢師連盟に所属し、九州国立博物館の文化財保存修復施設で主任技師として活躍されています。中村さんの許には貴重な文化財が、修復のため運び込まれてきます。修復は、まず調査からスタートします。顕微鏡を使って丹念に絵画を観察し、紙や絹の状態、絵具の状態を明らかにし、その調査を基に作品を担当する学芸員と相談しながら処置方法を決めます。「人間の病気の症状が一人一人違うように、文化財も一つとして同じものはありません。作業として決まったことをするのは、修復技術者の仕事ではありません。文化財の症状を正確に把握し、最も適切な処置を施す。そのために、目の前の作品に真摯に向き合い、その声を聴く。そして最善の治療をするための技術を磨く。それが修復技術者の仕事です。」

 

絵画「釈迦如来像」修復の現場

中村さんは、現在、九州国立博物館が所蔵する中国・元時代の絵画「釈迦如来像」の修復に取り組んでいます。この文化財は、絹本著色といって絹地に絵具で描かれています。また、半透明の絹地の特性を生かし、裏面にも彩色をほどこす「裏彩色」という技法が使われています。裏から絵具を塗ることによって、よりやわらかで複雑な色彩を表現することができる東洋絵画独特の技法です。通常、絹本著色絵画は薄い紙を裏から糊で貼って裏打ちされています。修復は、まずこの古くなった裏打紙を剥がすことから始まります。中村さんは、顕微鏡をのぞきながらピンセットで慎重に裏打紙を剥がしていきます。作品を傷つけないよう、また裏彩色による絵具を剥がさないようにと、非常に繊細で息詰まる作業です。顕微鏡で見ると目視では見えない鮮やかな色彩や、絹本の状態が浮かび上がってきます。古い裏打紙をこうして剥がした後、汚れをとる、破損・傷などの箇所があれば補修する、などの作業を施し、新しい裏打紙を貼り修復が完成します。一つの作品の修復には、短いもので一年、長いものでは3年もかかります。

修復の現場で活躍するライカ 顕微鏡

修復というと古い職人の世界というイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、道具や材料、技術は常に進化していて、修復の現場には最新鋭の機器も導入されています。「今使っているライカの顕微鏡は、レンズが良いので非常に細部までよく見える、明るく目が疲れない、アームなどの操作性のよさにも助けられています。」中村さんが使用しているライカ 実体顕微鏡は、修復の現場で求められる高いレベルの描写力、色の再現性、操作性を提供し、修復のみならず医学・生物研究や産業機器の品質検査など様々な分野で活躍しています。九州国立博物館では、実体顕微鏡の他にも、生物顕微鏡など沢山のライカマイクロシステムズ顕微鏡が設置されています。

 

文化遺産を後世に残す、その使命のためにより技術を磨きたい

「修復技術者に求められる資質は、情熱と集中力ですね。私の場合は、とにかくこの仕事が好きなんです。国宝、重要文化財になるとプレッシャーも強いですが、全ての美術品は唯一無二という点でどれも同じように貴重です。どの仕事も重要で緊張を強いられるものばかりです。しかし、成果が目に見えるので、完成した時の感動は大きいですね。」と語る中村さん。ライカマイクロシステムズは、最新鋭の技術で文化遺産を後世に残す修復の現場をサポートし続けます。 取材協力:九州国立博物館

 

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製造業・産業向け
ものづくり顕微鏡

意外と難しいを顕微鏡観察のストレスを解決する、ライカの観察/検査用顕微鏡&デジタルマイクロスコープ。ストレスフリーで快適な使い心地のさまざまな顕微鏡&ソリューションを提供しています。

製造業・産業向け顕微鏡
一般社団法人 国宝修理装潢師連盟 主任技師
中村 隆博さん

かつては、書道家を目指していましたが、学校の授業で出会った修復に興味を持ってこの仕事に飛び込みました。文化財の修復では、色を足したりといった手を加えることはできません。オリジナルを損なうことなく、現状を維持することが修復です。これからは、次の世代の修復技術者の育成にも力を入れていきたいですね。

国宝修理装潢師連盟 中村 隆博さん

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