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インダストリー 2020.04.23

金属部品のバレル研磨の検査に、実体顕微鏡・デジタルマイクロスコープを活用

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諏訪市で金属部品のバレル研磨事業を展開する「株式会社 鉄研」では、製品の検査にライカの実体顕微鏡とデジタルマイクロスコープを活用しています。 今回は、導入までの経緯や具体的な活用について、社長の古畑直敬様にお話を伺いました。

 

1.導入のきっかけ

まず、貴社の金属研磨技術について教えてください。

古畑:当社では、金属プレス加工部品の「バレル研磨」を行っています。バレル研磨と、煮沸洗浄や超音波洗浄を組み合わせた複数回の洗浄工程を組み合わせた「クリーンバレル研磨」は、当社の独自技術です。 (※バレル研磨:工作物を研磨剤や水などと一緒に研磨容器に入れ、回転・振動させて表面を研磨する加工法)

 

バレル研磨と顕微鏡の関係は?

古畑:プレス加工で製造した金属部品の場合、せん断による切り口には以下の4つの面が生じます。

このような状態の部品を研磨していくわけですが、その過程や作業完了時には、「研磨によりバリがきちんと除去されているかどうか」「研磨によりクラックや破断面の残留が除去できたかどうか」等を検査する必要があります。その検査機器として、拡大鏡や顕微鏡が必要になるのです。

 

研磨の検査機器としてライカを導入したきっかけは?

古畑:「テクノプラザおかや」(長野県岡谷市)で、たまたまライカの顕微鏡に出会いました。それまでは拡大鏡を使って検査していたのですが、ライカの実体顕微鏡で見る世界は、まったくの別次元でした。ともかく、見える情報の多さが衝撃的でしたね。必要性が実証された瞬間でした。

 

導入に迷いはなかったのでしょうか?

古畑:はい、他社との比較も必要ありませんでした。ただし、そのときはまだ鉄研の起業前で、設備投資については厳しい状況だったので、一瞬躊躇したのは事実です…でも「モノづくりに必要な設備はまさにコレ!コレに投資せずしてどうする!」と思い、導入を決断しました。

 

2.ライカの特長

では具体的に、ライカのどこが導入の決め手だったのでしょうか?

古畑:私がモノづくりをするうえで一番こだわるのは、「モノを見る力」です。「作る技術」はもちろん必要ですが、見えなければ作れない。特に、「立体的」にモノを見る力は重要ですね。平面だけで捉えられるモノづくりって、あまりないんですよ。でも従来の拡大鏡だと、モノを立体的にとらえるにはオペレーターのテクニックや経験が必要でした。ライカの実体顕微鏡は、誰でもすぐ立体的にモノを見ることができる、それが一番の決め手です。

 

ライカは「立体的にモノを見る」ための武器、ということですね。

古畑:その通りです。バレル研磨は、平面ではなく立体の部品を研磨するわけですから。部品の角にどのくらいバリが残っているのかなど、状態を見ながら研磨を進めなければいけない。だから、平面的にしか見えない顕微鏡より、立体的に見られるライカのほうが、情報量が多く、圧倒的に有利なんです。 どれだけ立体的に見えるかどうか、一円硬貨で試してみるとよくわかりますよ。図柄の凹凸が、はっきり立体的に見えて、しかも全体的に焦点が合っている。普通の拡大鏡だと、そうはいきません。

鉄研の検査室、実体顕微鏡「S9 i」とデジタルマイクロスコープ「Leica DMS1000」が並ぶ

3.ライカ導入によって変わったこと

ライカの導入によって、研磨の精度は変わりましたか?

古畑:はい、当社では研磨の過程で部品を随時サンプリングし、ライカで検査して状態を確認しています。もちろん、研磨の完了後も部品をライカで検査し、目的の状態まで研磨できたかどうか確認しています。これによって、不良品の発生が減ったと思います。なぜなら、ライカは立体視できるうえに解像度が高い。だから、研磨の「あら」が鮮明に見える。見えたからには、さらに上の精度を目指すのは当然でしょう。そこまでの精度はいらない、とは絶対考えません。だって、そこまでの会社になってしまいますからね。

 

画像の色の再現性についても、エピソードがあるそうですね。

古畑:ええ、ライカでしか見られない色の粒子があったんです。当社で、あるサンプルをライカで観察したところ、青の粒子が見えました。でも他社では、そのサンプルを顕微鏡で観察しても青の粒子は見えない、鉄研が間違っている、って言うんですね。だから当社では、写真を撮って提示し、「絶対に青の粒子がある!」と主張しました。ライカの実力を信用していますから、「鉄研が正しい!」と、より自信をもって言えたのだと思います。

 

打ち合わせや社員教育にも活用なさっているとか。

古畑:はい、お客様との打ち合わせ、社内の会議や勉強会などでは、ライカの実体顕微鏡にデジタルカメラを接続し、液晶モニターで画像をライブ表示させながら話を進めることがよくあります。この方法なら、画像情報が正確かつリアルタイムに共有できる。状態を言葉で説明したり、図を書いたり、そこで生じた誤解をといたり、といった手間が一切ない。みんなで同じものを見てディスカッションし、「これはこうだから、こうして作業しよう」って即決して、すぐ動けます。

 

画像共有のメリットは何ですか?

古畑:「時短」ですね。製造業にとって、時短は利益に直接つながりますから、本当に重要です。だから時短を実現できるものには、費用をかける価値があります。このメリットは、当社のお客様にとっても同様だと思います。現に、打ち合わせに来社されたお客様から「こんな理想の打ち合わせは、今まで経験がない」といったお言葉をいただいています。 もしかしたら、当社が創業6年でここまで来られたのは、ライカの力があるかもしれませんね。

 

それは光栄です!本日は、どうもありがとうございました。

古畑:諏訪はいいところですよ!次回お越しになるときは、ぜひ、泊りがけで温泉でも楽しんでいってくださいね(笑)

 


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実体顕微鏡
S9 i

S9シリーズは、焦点深度が12mmと深く、前景から後景までシャープにピントがあった立体感あふれる画像を一目で捉えることができます。また、9:1というズーム比を活かして、全体観察と細部観察を素早く切り替えられます。 S9 iは1,000万画素・最高35fpsのCMOSカメラを内蔵。PCのモニターやモバイル機器で静止画や動画を観察できます。ネットワークに接続して、画像を共有することも可能です。

実体顕微鏡 S9 i
実体顕微鏡
A60 F

A60シリーズは、一度に観察できる視野径が46㎜と広い、作動距離が122㎜と広く試料にアプローチしやすい、最大13.6mmの焦点深度のため立体視が可能、といった特長を持つ、作業効率の高い実体顕微鏡です。長時間でも快適に作業できるよう、鏡筒角度などのデザイン面も考慮されています。 A60 Fはフレックスアームが付属しており、アームを作業台などに取り付ければ、本体を自由な位置に動かして使用できます。

実体顕微鏡 A60 F
デジタルマイクロスコープ
DMS1000

HDMIモニターを使用して、高精細フルHD画像をライブ表示するデジタルマイクロスコープ。接眼レンズを覗かなくても、試料をモニター上でクリアに観察・撮影することもができます。試料のオーバービューから微細構造の観察まで、ライカ独自の光学技術により300倍まで拡大可能。内蔵型HDカメラは、最大30fpsの高速フルHDライブ表示、および500万画素の静止画の撮影を実現しています。

デジタルマイクロスコープ DMS1000

株式会社 鉄研
古畑 直敬 社長

金属研磨の会社で勤務していたが、仕事の「質」を追求するために独立、2014年2月にバレル研磨処理専業の「鉄研」を1人で創業した。以降、「金属表面の固着油分などの汚れ原因を徹底追究」することで、高品質な研磨処理を提供している。2015年4月に法人化し、2019年5月には諏訪市に新本社工場を設立。現在は従業員数15名の会社へと成長している。 (写真は新本社2階の会議室、諏訪湖に臨む絶好のロケーション)

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