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ライフサイエンス 2019.02.04

培養細胞を観察する時の注意点と細胞チェックを効率化するためのポイント

High Five cell (GFP/ mCherry labelled). Courtesy of Prof. Giehl, Uni Marburg

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培養細胞は環境変化の影響を受けやすい

細胞を扱う実験や研究には、非常に多くの細胞が必要とされます。しかし、細胞は刺激による影響を受けやすく、組織片の採取方法や培養中の操作によって、増殖能や成長速度が変わってしまう、という問題が頻繁に起こります。そうした問題を避けるため、採取した組織片から得られる細胞を、同一条件下で人為的に増やすという作業が行われるのです。この一連の操作を細胞培養と呼び、そこで取り扱われる細胞を培養細胞と呼びます。

 

細胞培養に適した環境を整える

一般的な細胞培養では、円形のシャーレや専用フラスコ等の培養容器に細胞を入れ、細胞の栄養となる培地によって細胞が生きられる環境を整えます。培地には低血清培地や無血清培地と呼ばれるものもあり、目的に適したものを選ぶことが必要です。その後、培地のpHと温度を一定に保つインキュベーターに培養容器を入れることで培養が始まります。 細胞を培養するための条件を整えるだけでこれだけの手間がかかる、ということからも、細胞が環境の変化に敏感であることがわかります。インキュベーターから細胞を取り出す際には、温度変化の影響を最小限に抑えるため、素早く細胞を観察することが求められます。また、培養容器全体に増殖した細胞は植え替え(継代)をしてやる必要がありますが、こうした操作は、細胞の汚染を防ぐため、クリーンベンチなどの無菌空間で行うことが必須です。 理想の状態で細胞を培養するためには、これらの操作に精通した培養技術と環境を整えなければなりません。

 

顕微鏡観察をする際に注意すべきこと

継代操作を行う際には、事前事後の細胞チェックも迅速に行う必要があります。ここでは細胞チェックを目的とした観察をする時に注意すべきポイントを、プロセスに沿ってご紹介します。 観察前-顕微鏡の確認 培養細胞を正しくかつ迅速に観察するためには、観察前に顕微鏡の状態と設定を確認しておくことが大切です。観察に使用したい倍率の対物レンズと空の培養容器を用意し、容器の底面の傷等に焦点を合わせておけば、実サンプルを設置した時にもスムーズにピントを合わせることができます。また、ステージを中心位置に戻しておくことも大切です。最後に照明の状態も確認しましょう。 これらに問題がないようであれば、顕微鏡のクリーニングに取り掛かります。無菌状態が確保されていないオープンな環境下では、培養容器が触れるものに特に注意を払いましょう。また、顕微鏡はどれほどきれいに扱ったとしても、手で触れて操作する以上汚れの付着は避けられません。目に見えない菌や汚れが培養容器に付着してしまわないよう、顕微鏡本体は70%エタノールを染みこませたペーパータオルなどできれいに拭きます。対物レンズや接眼レンズもレンズ専用のワイパーで汚れを拭き取っておくとよいでしょう。 観察前-培養容器の取り扱い 細胞培養で最も問題となるのがコンタミネーション(汚染)です。コンタミネーションは、培養容器内に菌が入り込むことで発生します。移動時などは、液体の培地が容器の蓋に接触しないよう特に注意が必要です。 また、接着細胞の場合は、インキュベーターから顕微鏡へ移動する間に、容器内の培地が揺れてしまうことで、細胞が剥がれてしまうことがあります。できる限り培養容器に振動を与えないようにすることを心がけましょう。 顕微鏡観察-細胞の状態の確認 まず、インキュベーターから培養容器を出した直後に、目視でコンタミネーションを確認します。その後、顕微鏡下で再度コンタミネーションが無いかを確認します。コンタミネーションは細胞の育成状態へ多大な影響を与えるため、確実に判断しなければなりません。判断がつかない場合は、文献やコンタミネーションの経験者を頼りましょう。 続いて、接着細胞の場合は、顕微鏡下で細胞密度(コンフルエンシー)の確認を行います。コンフルエンシーは、培養容器内の状態によって、パーセンテージで表されます。例えば、培養容器の底面の60%が細胞に覆われている場合には、60%のコンフルエンシーとなります。浮遊細胞の場合には、顕微鏡観察以外の手法でコンフルエンシーの確認を行う必要があります。 その後、細胞の状態を確認します。細胞は指数関数的に増えていき、ある程度のコンフルエンシーに達すると栄養不足などが原因で増殖が止まるだけでなく、形態や性質に影響がおよびます。また、コンフルエンシーが100%近くになると継代操作後の回復に時間がかかったり、浮遊細胞では凝集が見られる場合もあります。 いずれの細胞も健全な状態とは言えず、結果的に実験結果に悪影響を及ぼすこともあるため、注意しましょう。細胞培養の効率や研究への影響面から考えると、できる限り健康な状態の細胞で継代することが望ましいため、コンフルエンシーは、毎日確認して、継代するタイミングを見逃さないことが大切です。観察時には細胞の分裂周期も加味して継代のタイミングを見極める必要があります。

 

培養細胞をインキュベーターに入れたまま観察〜細胞チェックが簡単〜

過密なコンフルエンシーは細胞に大きなダメージを与えてしまうため、ほとんどの研究機関では、毎日欠かさず培養細胞の確認をしています。しかしながら、インキュベーターから細胞を出し入れする際の環境温度や湿度の変化が細胞のダメージに繋がることはもちろん、コンタミネーションの原因にもなるため、本来、細胞チェックを頻繁に行うのは好ましいことではありません。 しかし、現在では培養細胞に環境の変化を与えないようにインキュベーター内で細胞観察を行う技術が開発され、人の手で細胞をチェックする必要がなくなりつつあります。 「デジタルセルチェッカー PAULA をサンプルと一緒にインキュベーターの中に入れるだけ。PAULA」もインキュベーター内で細胞観察ができる製品のひとつです。デジタルセルチェッカー PAULA をサンプルと一緒にインキュベーターの中に入れるだけ。PAULAは、培養細胞を環境の変化から守り、細胞チェックの作業の安定性を格段に向上します。培養細胞をインキュベーター内に静置したまま、位相差観察と二色の蛍光観察ができるから、コンタミネーションの心配も無く安心です。目標のコンフルエンシーなどを事前に登録しておけば、培養細胞が理想的な状態に達したタイミングでメール通知を送ってくれるので見逃しもありません。 タイムラプス機能を使えば、細胞の変化を追い続けることもでき、例外的な振る舞いをする細胞への対応や、コンタミネーションの早期発見に役立ちます。これまで見逃しがちだった細胞分裂の瞬間も観察することができるため、多面的な場面での活躍が期待されるでしょう。 日々の細胞チェックをデジタル化することには、業務を圧縮できるというメリットも期待できるでしょう。また、実験や研究では再現性も大きなポイントのひとつであるため、主観的になりがちだったコンフルエンシーチェックを標準化し、評価ミスを回避することで、根拠のある観察基準を設けられることにも、大きな価値があります。複数の担当者が実験に関わる場合にも、データがデジタル化されていれば、実験結果の共有や作業の引き継ぎがスムーズになります。 細胞培養において、細胞の状態やコンフルエンシー、コンタミネーションを確認するための細胞チェックは欠かせないものです。多大なエネルギーを要する毎日の細胞チェックは、デジタルセルチェッカー PAULA をサンプルと一緒にインキュベーターの中に入れるだけ。PAULA を導入して、作業フローの標準化、効率化を目指したいですね!

 


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