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メディカル 2015.04.16

手術顕微鏡活用事例/獣医師にも常に最新の技術・最新鋭の機器を

獣医臨床にも必ずマイクロサージェリーの時代が来る

ライカ手術用顕微鏡を導入された清水ペットクリニックの清水誠司先生、清水弘司先生に、獣医療におけるマイクロスコープの役割と展望についてお話を伺いに京都府福知山市を訪れました。

 

動物に対する意識の変化に対応して、獣医療も変化、進化を遂げてきている

清水ペットクリニックは、顧問獣医師である清水弘司先生と、息子さんで院長の清水誠司先生の親子で運営されている動物病院です。「私がこの病院を開業したのが、ちょうど40年前になりますが、ローカルではその頃の獣医療は牛や馬などの産業動物が中心で、ペットに対して医療を行うという発想が、飼い主側に余りありませんでした。それが徐々にペットに対する考え方、社会での捉えられ方、人との関係性などが変わってきて、今日ではペットへの医療、手術なども人間と同様に普通に行われるようになってきています。」と弘司先生はおっしゃいます。清水ペットクリニックでは、年間200件ほどの手術を行っています。「避妊、去勢が最も多いですね。世の中の動物を飼う人の知識や意識が高まってきて、野良犬、野良猫を増やさない、動物を不幸な目にあわさないよう人間ができることをするという意識が浸透してきたように思います。」また、飼育環境や食生活の改善などで、ペットが高齢化してきたことにより腫瘍や心臓病、血管系の疾患などが増えているともおっしゃいます。さらに、「犬種の流行にも関係があって、ダックスフンドが人気になって、ダックスフンドは非常に椎間板ヘルニアになりやすく、当院でも手術件数が増加しています。また、室内飼育が増えた関係で、カビによる皮膚病も増えていますね。」また、近年では海外から入ってくる病気が増えているそうです。このように、動物の疾患も非常に多様化、複雑化してきていると言えます。そういった状況に対応するため、獣医師も常に最新技術を取り入れていく、機器も最新鋭のものを使いこなしていくことが求められています。

目の前にある命に真摯に向き合い、できる限りのことをする、それが獣医師としての哲学

高齢化した動物や、重度の疾患の動物に対して、高度な医療を施すことの是非については、議論があります。両先生にご意見を伺いました。「先日、高齢の乳腺腫瘍を患っている猫がきました。見るとその 腫瘍が破裂して、血だらけでした。飼い主さんは安楽死を希望されたのですが、私が診る限り元気で毛並もよく、末期の患者には見えなかったので、手術を勧めました。実際に手術をしたところ、腫瘍がきれいにとれて回復しました。飼い主さんには手術して本当によかったと感謝されました。必ずしも飼い主さんの要望をそのまま受け入れるのではなく、自分で判断してよりよい選択をしていくことが求められていると思います。安楽死という選択肢を簡単に選ぶのではなく、目の前の命に対してはできる限りのことをしていく、それが私の獣医師としてのポリシーです。」と誠司先生はおっしゃいます。弘司先生も同様に、「助けを求めるものに対して、できること、できないことを伝え、いかに助けるかという方向で治療していく、これが基本的な姿勢ですね。」とご自身のポリシーについて語ってくださいました。

顕微鏡が広げる、獣医臨床でのマイクロサージェリーの可能性

誠司先生は、2013年にマイクロサージェリーの研究発表をされています。「膀胱腫瘍を発症した動物に対し、膀胱の全摘出を施し、回腸をパウチ化させた代用膀胱に尿管と尿道を吻合するという手術を行いました。このような非常に細かい手術には、手術用顕微鏡が絶対に必要になってきます。顕微鏡の導入で、できることの幅が大きく広がりました。また、やはり顕微鏡は細かいところまでよく見えるので、手術の質が向上しましたね。」と誠司先生。動物の血管や尿管などは非常に細く、それを吻合するには高度な技術が必要です。「高度な手術になると、血管吻合は必須なので、その技術がないと手術ができないということになります。まだまだ、顕微鏡を導入している動物病院は少ないですが、これからは飼い主からの要望も増えてくるのではないでしょうか。勘に頼った手術ではなく、確実に見て確実に施術するという時代がすぐに来ると思います。マイクロサージェリー学会などで発表されている回腸を用いての食道形成など、今後はそういった手術を行うところがでてくると思います。」ライカ M220 F12を選ばれた理由について、弘司先生は「歴史のあるライカブランドの魅力、アポクロマートレンズの見え、LEDの自然な照明、スマートでかつ威厳のあるデザイン」とおっしゃいます。「アポクロマート系のレンズは眼にやさしくて疲れない、LED照明は太陽光に近く自然な見えですね。」 最後に今後の目標について、誠司先生に伺いました。「マイクロサージェリーをやっていきたいですね。獣医臨床でマイクロサージェリーを行っているところは非常に少ないですが、近い将来、獣医療にも顕微鏡が必須になる時代が来ると確信しています。」

 

手術顕微鏡
Leica M220 F12

Leica M220 F12 は外来処置用顕微鏡の広範囲なニーズに対応。定評のあるライカのアポクロマート光学系、LED照明、直観的でユーザーフレンドリーな操作に加えて、XY動ユニットも標準装備。

手術顕微鏡 Leica M220 F12
清水ペットクリニック(京都府福知山市)
院長 清水 誠司先生、顧問 清水 弘司先生

清水弘司先生(清水ペットクリニック 顧問獣医師) 1944年生。日本獣医畜産大学獣医科(現日本獣医生命科学大学)1966年卒業。東京の本間家畜病院(小動物専門)に9年勤務。1975年1月清水ペットクリニック開業し院長となる。元京都府小動物獣医師会会長。第84回近畿地区連合獣医師大会実行委員長。調停委員25年。厚生労働大臣感謝状受賞、大阪国税局局長表彰受賞、大阪高等裁判所長官表彰受賞。(厚生保護法人)京都府更生保護協会副理事長。(公益社団法人)京都府獣医師会会長。2015年清水ペットクリニックの顧問獣医師となる。
清水誠司先生(清水ペットクリニック 院長) 1976年生。日本獣医畜産大学獣医科(現日本獣医生命科学大学)2000年卒業。福岡の高橋ペットクリニックに3年勤務。その後、母校の研修を経たのち、2006年に清水ペットクリニックの副院長として勤務。平成26年度(2014年)獣医学術近畿地区学会日本小動物獣医学会(近畿)で「会陰ヘルニアにポリプロピレンメッシュ整復法と直腸縫縮術を併用した犬猫14症例」を発表し、優秀研究者褒賞(地区学会長賞)を受賞。平成27年2月13日~15日、平成26年度日本獣医師会 獣医学術学会年次大会(岡山)で日本小動物獣医学会-地区学会長賞受賞講演を行う。2015年清水ペットクリニックの院長となる。

清水ペットクリニック 清水弘司先生

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