今回は、対物レンズに関する用語「同焦点距離」「作動距離」「機械筒長」などの意味をご紹介します。何となく想像はつくけど、実ははっきり分かっていない、という方も多いのではないでしょうか?
同焦点距離と作動距離
対物レンズの同焦点距離と作動距離は、標本面との距離に関係しています。
同焦点距離
生物顕微鏡や金属顕微鏡は、複数の対物レンズを取り付けたレボルバを回転させることにより、倍率をチェンジできるようになっています。
「同焦点距離」は、ピントを合わせたときの、対物レンズのレボルバ取付面(胴付)から標本面までの距離です。ISO 9345-2およびJIS B 7132-2で規格が「45+15m(m=-1、0、1、2、3、4)mmの範囲」と定められており、主に45/60/75mmが採用されていますが、ライカでは45mmを採用しています。
作動距離と同焦点距離の関係
「作動距離」は、ピントを合わせたときの、対物レンズの先端から標本面までの距離です。
同焦点距離は対物レンズの倍率によらず一定なので、全長の短い(低倍率系の)対物レンズを使うときは作動距離が長く、全長の長い(高倍率系の)対物レンズを使うときは作動距離が短くなります。
機械筒長と結像方式
「機械筒長」は、接眼レンズの取付面(胴付)と対物レンズのレボルバ取付面(胴付)との間隔です。機械筒長は、顕微鏡の結像方式によって異なります。
- 対物レンズ単独で結像する「有限補正光学系」の場合、機械筒長はISO 9345-1およびJIS B 7132-1で160mmと定められています。
- 対物レンズと接眼レンズの間に結像レンズを配置する「無限遠補正光学系」の場合、機械筒長の制限はありません(無限大:∞)。対物レンズと結像レンズの距離を自由に設計できる、鏡筒内にフィルタ等を入れやすくなる、等のメリットがあります。