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インダストリー 2021.09.05

実体顕微鏡とデジタルマイクロスコープの"一台二役"を可能にする「AXキャリア」

高倍率でも立体感のある像を観察できる実体顕微鏡M205シリーズのカタログはこちら

実体顕微鏡で観察した試料をデジタルカメラで撮影すると、目で見ていた画像とは違う、ずれた画像になってしまう!この問題を、シンプル&ユニークな機構で解決したのが「AXキャリア」です。
光学系を移動させることによって「実体顕微鏡による立体視」と「デジタルマイクロスコープによる垂直撮影」の切り替えを可能にし、画像のずれを解決しました。

 

実体顕微鏡におけるデジタルカメラ画像の問題

実体顕微鏡の最大の特長は、試料を立体視できることです。しかし、その特長が、デジタルカメラ画像の撮影においては問題の元になってしまいます。

 

実体顕微鏡の特長:平行光学系で立体視が可能

実体顕微鏡は、平行光学系(ガリレオ光学系)を採用しています。この光学系では、1つの対物レンズに対して、左右独立したズームレンズと接眼レンズが存在します。
この場合、接眼レンズをのぞいている右目と左目では、違う像を見ることになります。人間の脳は、両者からそれぞれの画像情報を受け取り、合成して1つの鮮明な3Dイメージを生成します。これが、立体視を可能にする仕組みです。
実体顕微鏡の平行光学系の光路、および接眼レンズでのぞいたときに見える画像は、以下のようになります。

カメラ撮影は斜めから?

では、実体顕微鏡で試料をデジタルカメラ撮影する場合はどうでしょう。カメラには、目(レンズ)が1つしかありません。ですから、実体顕微鏡の2つある光路の片方に、デジタルカメラを取り付けることになります。
その結果どうなるのか?答えは簡単です。光路が片方だけになり、試料を「真上」からではなく「斜め」から捉えた画像が撮影されるのです。

実体顕微鏡では「目で見た画像」と「撮影した画像」が一致しない、この問題は今まで「やむを得ないこと」として扱われてきました。

 

シンプル&ユニーク、光学系をシフトする「AXキャリア」

「目で見た画像」と「撮影した画像」が一致しないという問題を、ライカマイクロシステムズはとてもシンプルかつユニークな仕組みで解決しました。それが「デジタルカメラ」「接眼レンズ」「ズームレンズ」の3つの光学系を、「対物レンズ」の真上に丸ごとシフトする機構「AXキャリア」です。
AXキャリアによってすべての光学系を垂直に揃えれば、試料を真上から捉えた画像を撮影できます。

AXキャリアは、平行光学系の実体顕微鏡に取り付け可能な、手動のシンプルな機構です。
実際の操作を、動画でご覧ください。

M205 CにAXキャリアを取り付け、光学系を左右に移動させている様子

AXキャリアの操作による光学系のシフトイメージと、撮影される画像の関係を、動画でご覧ください。
観察している試料は、六角穴付皿ボルト(M3)です。

試料:六角穴付皿ボルト(M3)

 

実体顕微鏡とデジタルマイクロスコープの”一台二役”を可能に

AXキャリアの「光学系を垂直に揃える」という機構は、デジタルマイクロスコープと同様です。フォーカスを変えても画像がずれず、寸法の測定なども簡単に行えます。
つまり、AXキャリアがあれば「実体顕微鏡(立体視)」と「デジタルマイクロスコープ(垂直撮影)」の”一台二役”と、それぞれの”いいとこ取り”が可能になるのです。

■実体顕微鏡&AXキャリアの活用例
実体顕微鏡とAXキャリアの組み合わせは、段差や勾配がある試料、ホールのある試料などに適しています。立体視で段差・勾配・ホールの状態を観察してから、光学系をシフトし、垂直観察でその長さや直径などを測定する、といった使い方ができます。
たとえば、以下のような試料・観察に活用できます。

  • 回路基板(ユニバーサル基板、スルーホール、はんだ溶接部、コンデンサなど)
  • ネジ、ばね
  • 医療機器(注射針、カテーテルなど)
  • 金属部品の傷・穴のチェック

AXキャリアは約10万円というローコストで、平行光学系の実体顕微鏡(M50・M60・M80、M125 C・M165 C・M205 Cなど)にオプションとして取り付けられます。
該当の実体顕微鏡をご利用の場合は、ぜひご検討ください。

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