地球変遷の歴史を紐解く
金属顕微鏡 ライカDM4000 Mと高速・高精度・広視野 画像貼り合わせシステム ライカ Power Mosaicを導入された、大阪市立大学大学院理学研究科・理学部生物地球系専攻 江﨑洋一教授に、研究内容と画像貼り合わせシステムの有用性についてお話を伺いました。
過去は現在を知る鍵
太古の昔、地球はどのようで、われわれはどこから来たのだろうか?幼少の頃から、とにかく“古いもの”に強いロマンを感じていた江﨑先生は、いろいろな時代の地層や、過去に生きていた生物(古生物)を研究する「層位古生物学」を専門にされています。地球の創成から現在に至るまで、地球と生物がどのように関わりながら、相互に進化・変遷してきたかを明らかにされようとしています。 「現在は過去を解く鍵」という表現で知られる地質学では、現在の現象から過去の過程を説明することが重要です。しかし、過去に特有な現象を抜きに現在を語ることはできません。「過去は現在を知る鍵」であり、さらには「過去と現在は未来を洞察する鍵」と先生は言います。 地球システム系46億年という、途方もない長い期間の中で生じたさまざまな現象の「原因と結果」、「過去と現在」を解明し、未来を創造することはとても難問です。問答を繰り返して行くうちに、研究対象がどんどん過去にさかのぼり、現在の対象は、人類が出現するはるか以前の5億数千万年(カンブリア紀)を超えてしまいました。
フィールドワーク
研究テーマがいかに壮大であっても、良好な研究試料が伴っていなければ、単にSFの世界でのお話に終わってしまいます。地質学の研究においては、とくに「現場」が重要で、最良の岩石を求めて国内外で現地調査を行います。露頭で岩石がどのように現れているのかなど、産出状況を自分の目で観ることが大切です。昨年もモンゴルに出かけ、ハンマー片手に、試料を採集してきました。 野外ではまず、肉眼レベルでマクロな(巨視的)観察を行います。その後、試料を採集、岩石を切断、研磨し、数十ミクロンの厚さの切片にして、古生物の種類や微細組織などを、ミクロな(微視的)レベルで観察します。時間の流れの中で、研究対象の細部に秘められた謎を読み解くために顕微鏡は必需品です。「神は細部に宿っている」と言いますからね。
本質を理解するために、中視的な視点で
「コトの本質」を理解するためには、巨視的レベルと微視的レベルでの観察をつなぐ、中視的(mesoscopic)レベルでの観察が鍵を握っています。巨視的な現象と微視的な現象とがどのように関係し合って、「全体としての現象」が生じているのかの考察が肝心であるためです。ライカ Power Mosaic(高速・高精度・広視野 画像貼り合わせシステム)は、それを可能にしてくれます。学会時のブースで、そのシステムを観た瞬間に一目惚れしてしまいました。そのシステムのおかげで、研究試料が自らの履歴を雄弁に語り始めたと言っても過言ではないでしょう!
ライカの顕微鏡には職人魂を感じる
微細な岩石組織を高解像度で観察できることが最大の魅力です。さらに、構造が堅牢で耐久性に優れていること、基本装置を購入すれば、その後、必要に応じて付属品を装着し、独自の顕微鏡システムを構築できるところがステキです。「基本設計」は、生物の体制の構築でもとても大切な要素ですからね。職人魂は研究者魂と同じでしょうから、相通じるところがあるのだと思います。
3つの視点で研究をサポート
江﨑先生は「コトの本質」を理解するには虫の目(部分)・鳥の目(全体)・魚の目(流れ)の3つの視点を持ち、大局を大切にしながら、基礎的・実証的な活動を心がけることが重要とおっしゃいます。 ライカ顕微鏡と貼り合わせシステムは、全体像のある部分の細部を高解像で観察したうえで、相互関係の変遷を読み解く、まさに3つの視点を備え持つシステムとして、研究をサポートし続けます。
- 高速・高精度・広視野 画像貼り合わせシステム
- ライカ Power Mosaic
ライカ PowerMosaicは、倍率を上げると視野が狭くなる顕微鏡観察の弱点を解消し、顕微像のまま高速に視野を貼りあわせて、高精細かつ広視野像を提供するシステムです。従来の貼りあわせソフトウエアの、視野ズレやムラ、拘束時間などの多くの課題をクリアし、ストレスのない高精細で広範囲の1枚像で観察することを実現します。画像認識での貼り合わせと異なり、どんなサンプルにも対応します。
- 大阪市立大学大学院 理学研究科・理学部 生物地球系専攻
- 江﨑 洋一教授
いろいろと「コトの可能性」を考えること・モノを感じることが大好きです。地球46億年の変遷の謎解きを通じて、少しでも世界を理解すること、それが私の夢です。