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インダストリー 2018.10.11

働きやすい職場ってなんだろう?長時間労働と働き方改革について考えてみませんか

健康や命を犠牲にするほど価値のある仕事はない、という考えには誰もが賛同できるでしょう。厚生労働省も、時間外労働が月100時間を超えると健康障害のリスクが高くなる、と明言しています。もちろん、心身に害を及ぼすほどの長時間労働を礼賛することはできません。政府が提唱する働き方改革も、長時間労働の是正がメーンになっています。しかし、長い時間働くことは「悪いこと」なのでしょうか。長時間労働について、立ち止まって考えてみることは無駄ではないでしょう。 微小部分析は手法を見直すだけでダウンタイムを90%も短縮できる デジタルマイクロスコープと倍率の考え方―倍率は高ければいい?

 

長時間労働が発生する理由

そもそもなぜ長時間労働が発生するのでしょうか。そこには以下のような理由があります。

  • 人員が足りない
  • スキルが足りない
  • 予定外の仕事が突発的に発生する
  • 業務の納期が短い

人員不足は、人口の少子高齢化による労働者不足と急激な景気改善によるものと考えられます。特定の企業や特定の業界だけでは解決できない大きな問題です。

 

スキル不足は日本企業の特徴

スキル不足による長時間労働化は、日本企業に特徴的な傾向だと考えられています。これは日本企業が「仕事に人を合わせる」かたちで働かせることに原因がありそうです。 日本企業の多くは、学歴や職歴、人柄などをみて採用の合否を決めます。とりあえずよさそうな人材を採用して、業務内容や部署の配属は入社後に決める、というスタイルです。「仕事に人を合わせる」かたちの採用方法や働かせ方をすると、「誰もが最初はその仕事の素人」という現象が生じます。これでは効率的な業務遂行ができず、仕事に慣れるまで働く時間が長くなります。 一方、欧米の企業は「人に仕事を合わせる」かたちで働かせる傾向があります。つまり「この仕事のスペシャリストを採用しよう」という採用方針なのです。この方式だと労働者は働く場所は変わっても、仕事にはなじみがあるのですぐに業務に取りかかることができます。 では日本式の「仕事に人を合わせる」かたちの働かせ方が悪いかというと、そうでもありません。特定の業務が陳腐化して不要になっても、その仕事に就いていた労働者を別の部署に回しやすくなるからです。それは、ある仕事の素人にその仕事のやり方を教える習慣があるからです。この方式だと、労働力を無駄遣いしたり使い捨てにしたりしないで済みます。

 

仕事の量が必ずしもいつも定量とは限らない

次に突発的業務と短納期ですが、これは仕事の仕方や仕事のさせ方の問題になります。 こうした問題は、業務を見える化したり、PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを導入したりすることで改善できるかもしれません。ただ、盆暮れ、年末年始、ゴールデンウィーク、季節行事といった日本の風習による短期集中的な長時間労働は、改善が難しいかもしれません。こういったシーズンごとの需要の変化に伴う必要労働力の増大は業種や業界ごとに異なります。ある程度の予測はついても、需要の変化に合わせて人員の数を変化させることは難しく、結果的に1労働者当たりの労働時間を多くすることで需要の波に対応している会社が多くあります。 このように長時間労働とひと口にいっても、さまざまな理由や原因があることがわかります。そのため長時間労働対策も多様であるべきでしょう。 スキル不足には適切な設備投資を。忙しいあなたの働き方改革を支える、まったく新しい金属顕微鏡 DM6 M LIBS なら、微小部分析のダウンタイムを90%も短縮できる!

 

政府の働き方改革と時短ハラスメントについて

働き方改革は政府の重要政策のひとつになっています。2018年には、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律も成立しました。

 

数値目標まで提示した本気の取り組み

この法律の目的は、次のとおりです。

  • 労働者が多様で柔軟な働き方を選択できる社会を実現する
  • 長時間労働の是正
  • 雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保する

「多様で柔軟な働き方」や「公正な待遇」といったあいまいな言葉が多いなかで、唯一「長時間労働の是正」はとても具体的です。さらに政府は、時間外労働を月45時間、年360時間を原則として、臨時的な特別な事情がある場合でも、時間外労働を年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間を限度にする、という数値目標まで掲げています。政府の本気度がうかがえ、それは経済界にも浸透しています。日本経団連は2017年に「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」を公表しました。

 

労働量は同じなのに労働時間だけを減らすことはできない

企業はいま、働き方改革という名の旗の下で、長時間労働是正プレッシャーを受けています。企業が1人の労働者に任せる仕事の量を減らせば、労働者は早く帰宅できるようになり、ライフワークバランスを整えることができます。しかしこうした動きには、時短ハラスメントという弊害も生まれています。 時短は本来、仕事を効率化・省力化させて生産性を向上させ、業績を維持させつつ労働時間を短くすることが理想です。しかし1人の管理職が単独で、スタッフ全員の仕事を効率化・省力化させて生産性を向上させることは至難の業(わざ)です。そこで経営者から長時間労働是正プレッシャーをかけられた管理職は、スタッフたちにただ「早く帰れ」と指示するのです。しかも「業績は維持せよ」と申し添えて。 そうなるとスタッフたちは、これまでの業務量をこれまでより短い時間でこなさなければなりません。それで自宅に仕事を持ち帰るような行動に出て、結局は以前より仕事がしづらくなるわけです。時短が迷惑になるので、時短ハラスメントです。

 

長時間働きたい人はいる

長時間労働問題には、長時間働きたいというニーズにどう対応すべきか、という課題もあります。 例えば、将来の独立や起業を考え、企業に勤めているうちにすべてを吸収しようと考えている人は、労働時間に関係なく「がむしゃらに働きたい」と考えるはずです。このような労働者がイノベーションを生む原動力になるのであれば、「長時間労働叩き」は日本経済の発展に寄与しないことになってしまいます。イノベーションは、政府系サイトにおける頻出ワードのひとつです。 悪質な長時間労働を是正しつつ、良質な長時間労働や許容できる長時間労働についても、今一度検討を加えてみてもよいかもしれません。

 

必要なのは働き方の選択肢を増やすこと

歴史的、文化的な背景もあり、日本の経済界、労働界では、一生懸命働くことを美化する傾向が強く、それが過労死や過労自殺、心の病、深刻な生活習慣病を生みました。もちろん、悪質な長時間労働は是正し駆逐すべきでしょう。 しかし、単純に労働の長時間化を是正するだけでは、経済成長の鈍化を招くことになりかねませんし、働く人の自己開発を阻害するかもしれません。そこで、働きやすい職場環境をつくり、効率的かつ生産性の高い業務を増やすことで労働時間を短くする方策を検討してみてはいかがでしょうか。つまり働き方と業務内容の選択肢を増やすのです。 例えば、業務をIT化・AI(人工知能)化したり、テレワークを導入したり、外注業者を有効活用したり、社員に副業を容認したり、ビジネスモデルをネット化する、といった取り組みも、働き方と業務内容の選択肢を増やします。 労働者にはそれぞれのライフイベントがあり、長時間労働を厭わない時期があれば、プライベートの時間を増やしたい時期もあるのではないでしょうか。働き方や業務内容が多様化することで、一人ひとりの生き方に、よりマッチした仕事を選択できるようになるでしょう。

参照URL http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/071.html https://www.globalnote.jp/post-14269.html http://www.oecd.org/ https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html https://www.mhlw.go.jp/content/000332869.pdf https://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/dl/h0520-3b.pdf

 

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