日本顕微鏡学会 生体解析分科会 ~Frontiers in Cellular, Viral and Molecular Microscopy with Cryo-specimen Preparation Techniques~
著者/世話人 伊藤喜子
目次
はじめに / ブリストルへの道のり / 国内メンバーによる分科会開催 / ブリストル大学・イメージング施設の見学 / シンポジウム / ポスターセッション / ポスター賞 / 歴史ある建物の、名物タワーツアーに参加 / 謝辞 : THANK YOU!
はじめに
本分科会では、幅広い交流を目的に、例会分科会を隔年で海外開催しています。可能な限り、手の内で収まる温かい交流ができるよう、海外で活躍している日本人先生を伝手に、工夫して開催。海外研究者との交流・海外研究機関の視察をいたしました。
- 国内メンバーによる分科会開催
- Brisotl大学・イメージング施設の見学 電子顕微鏡、試料前処理、光学顕微鏡
- シンポジウム
- ポスターセッション
- ポスター賞
- 歴史ある大学建物の名物タワーツアー(ハリーポッターに出てきそう)
- 謝辞
ブリストルへの道のり
今回は、分科会メンバーの臼倉先生より、英国、Bristol大学でご活躍中の、山内先生をご紹介いただき、ご専門分野のウィルス学を絡めた “FRONT IERS IN CEL LULAR, VIRAL AND MOLECULAR MICROSCOPY” とユニークなタイトルを掲げ、ウィルス細胞生物学の権威 Helenius 先生、CLEM 研究の先駆者 Verkade 先生をはじめ、開催地中心に欧州の先生方との交流、大学内施設の電子顕微鏡・光学顕微鏡のイメージング施設の見学、英国での研究事情など意見交換会を、去る、9月15日~17日の期間で実施しました。 ブリストル市は、ロンドンのほぼ真西170kmほど離れた、South West England にある、ブリストル海峡を上った右岸にあり、大きなエイボン川に沿って形勢された港湾都市です。人口は、イングランドやイギリス全体の中でも多く、南西部の中核都市となっています。 ブリストル入りは、各会員旅慣れたメンバーだったので、現地集合としました。私は、羽田空港発・ヒースロー空港着で英国入り。当初、山内先生おすすめの高速バス移動を予定していましたが、荷物をピックアップしているうちにバス発車時間ぎりぎりになったので、行きは電車で行くことに。 まず、ヒースロー空港から、エクスプレスでパディントン駅に向かい、特急に乗り換えてブリストルへ。パディントン駅では、有名なパディントンベアの銅像を観たり、途中の駅では、歴史的に有名な Bath 駅を通過したりと、電車は、乗り心地もよく荷物の置き場所も確保されていて非常に快適でした。ただし、バスに比べるとかなり旅費がかかるようです。なるほど。帰路は、お勧めされた高速バスで快適に空港まで戻りました。
国内メンバーによる分科会開催
University of Cambridge 諸根先生に様々手配していただき、日本人メンバーでの、通常分科会を開催しました。 ロンドンの The Francis Crick Inst. の吉村さんや、JEOL UK の佐々木さんなども合流いただき、意見交換をしました。諸根先生からは、英国の財団について、吉村さんからは、現在の研究所のイメージング施設の現状をご紹介いただきました。
BRISOTL大学・イメージング施設の見学
ブリストル大学は、イギリス公立大学のひとつで、創立1876年、大学設置1909年。イギリス研究型大学連合の「Russell Group」の加盟校として、また、欧州大学連盟「Coimbra Group」として発展したとのこと。ノーベル賞受賞者も多数輩出する、英国有数の大学の1つ。日本の大学では、千葉大学、一橋大学、新潟大学、名古屋大学、京都大学、山口大学、九州大学、愛知県立大学、津田塾大学、日本女子大学、早稲田大学、関西学院大学、神戸女学院大学と大学間交流協定を結んでいるようです(H28年度実績 文科省まとめ)。
山内先生から、度々お知らせいただいていましたが、本当に ブリストルの街は、坂と階段が多い!長崎や神戸のようです。足腰が丈夫になること間違いなしの街でした。 これは、もちろん、大学敷地内も、むしろ高台にキャンパスが設置されているので街中より多いかもといったところ。街のように複数の建物があり、このうち2棟に分かれて電子顕微鏡・光学顕微鏡施設が設置されています。今回、我々向けに、イメージングスタッフ2名の方で手分けして案内していただきました。
歴史あるどうどうとした風貌の建物を入ると、現代風のセキュリティシステムゲートが設置され、新旧がうまく融合した安全対策がされた建物。 こちらは、昔ながらの電顕室と光学顕微鏡のイメージング施設が設置されています。
試料前処理装置室も、使い込まれつつ、歴代ウルトラミクロトームがずらっと。現行装置(第6世代)を担当者の方が絶賛作業中でしたが、第4世代機もピカピカで嬉しかったです。
今回、山内先生の他、中心となってまとめていただいた Paul Verkade 先生は、長年、CLEM 研究の第一人者として研究から若手育成まで幅広く活躍されている科学者。そのため、電子顕微鏡だけでなく、光学顕微鏡施設も充実していました。 SEMは、バイオ系でシリアルブロックフェースや、アレイトモグラフィ法などが、世界的人気で、こちらも ZEISS と、TF が並んで設置。
別の建屋に、高分解能クライオ TEM を設置されているとのことで、こちらも見学。シンガポールからブリストルに移ったばかりというクライオ担当の若手の先生にご案内いただきました。 吹き抜けが開放的な建屋の地下にクライオ電顕室が設置されており、白で纏められたクリーンな前処理の前室を通って、電顕室へ。TFS の Talos Arctica (200kV,FEG) が導入されていました。お決まりの扉を開けていただいて、中の本体拝見中。 前回訪問した、諸根先生が在籍されたレスター大学では、Titan Krios が導入されたそうで、英国内に拠点が次々生まれているようです。ブリストル大学も、南西イングランドから試料や研究者の方が集まってくる中核になっているとの事でした。
前処理室には、日本人には、珍しいフランス製のコーターが目に留まりました。日本でも、国内クライオ電顕室では、国産の親水化処理装置が人気ですね。そして、こちらも、沢山の研究グラントが投入されており、中核電顕室の重みを実感します。
重みと言えば、廊下のところどころで目に留まったアート。写真か?!と思ったら、なんと絵でした。 歴史の重みと最新設備がバランスよく配置された、センスが光る雰囲気のイメージングセンターでした。