効率よく蛍光シグナルを取得できるかどうかがポイント
共焦点レーザー顕微鏡で繊細な試料を観察するときに気をつけるべきことは?励起強度を低く保ったまま、明るく低ノイズな高画質画像を取得するために見直したいポイントをご紹介します。
レーザー強度と細胞ダメージ ―共焦点レーザー顕微鏡のジレンマ―
共焦点レーザー顕微鏡は、「ピンホール」と呼ばれる穴を用いることで、焦点位置の光だけを検出し、焦点位置以外から得られる余分な光はカットすることができる構造になっています。これにより高分解能かつボケのないシャープな蛍光像を取得することができます。通常の蛍光顕微鏡よりもXY平面上での分解能やコントラストが向上します。また焦点位置の情報のみを取得することによって深さ方向(Z軸)に分解能が生じるため、任意の厚さで断面像を取得できるなど、一般的な蛍光顕微鏡では見ることのできない微細構造の観察が可能となります。細胞内の微細構造は、電子顕微鏡を用いて観察されることもありますが、電子顕微鏡では多重染色画像の取得は難しく、また生細胞の観察ができません。共焦点レーザー顕微鏡であれば、容易に多重染色や生細胞の蛍光イメージングを行い有用な情報を得ることができます。 一方で、共焦点レーザー顕微鏡を用いた観察では、ピンホール径が小さいほど、分解能は上がるが得られる蛍光シグナルが減少し画像が暗くなってしまうという問題があります。その分、励起光であるレーザーの出力を上げて蛍光シグナルを増やすということもできますが、細胞に当てる励起光が強いほど、蛍光色素の退色や生細胞へのダメージも起こりやすくなってしまいます。
細胞ダメージを最小限に抑えるには
細胞へのダメージは、励起光を弱くすることで軽減することができます。まずは機器の設定を見直し、実験条件を最適化してみましょう。
- 励起強度を低くする
- スキャン時間を短くする
- スキャン時間の調整が難しい場合には解像度を下げる
イメージングクオリティをさらに追求するなら
イメージングクオリティをさらに追求するなら、システムの見直しも検討してみましょう。シグナルノイズ比が高く、効率よく光子を変換・増幅させることができる高感度光検出器があれば、生体試料の微細構造をイメージングする際の微弱な蛍光や発光も確実に捉えることができます。
- できるだけ多くの光を検出できる、幅広い波長で高い量子効率をもつ検出器を使用する
- 電子のロスを起こすことなく、素早く、強力かつクリアに信号を増幅することができ、広いダイナミックレンジをもつ検出器を使用する
- 検出器自身が由来となる「バックグラウンドノイズ」の発生が抑えられた、低ノイズで画像のコントラストが高い検出器を使用する
検出器は、どれも同じではありません
画像のクオリティにこだわるあなたには、超高感度ハイブリッド検出器 Leica HyDがおすすめです。Leica HyDは、高速でパワフルに、効率良くクリアな信号を増幅させることができるアバランシェダイオードを搭載しているため、電子のロスが全く起こりません。これまでの検出器(PMT)の優れた特性はそのままに、感度、ダイナミックレンジ、速度、シグナルノイズ比がさらに改善された、超高感度検出器です。 イメージングの影響を受けやすい繊細な生体試料や画像化が難しい組織スライスでも、Leica HyD ならハイコントラストかつ低ノイズで高画質な画像が得られます。画像処理の手間無くそのまま論文へ掲載できてしまうほどクリアです―あなたの画像は、Leica HyD で変わる!