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ウェルプレートでのスクリーニング時間が1/45に!作業負担を劇的に改善する画期的な蛍光イメージングシステム
ライフサイエンス 2020.04.24

ウェルプレートでのスクリーニング時間が1/45に!作業負担を劇的に改善する画期的な蛍光イメージングシステム

培養細胞から組織標本、モデル生物まで―ハイスループット超高精細蛍光イメージングを可能にするTHUNDERイメージャーの概要記事はこちら

 

ライカの次世代型蛍光イメージングシステム「THUNDERイメージャー」シリーズは、スクリーニングにおいて、信頼性の高いデータを迅速に提供します。創薬における化合物評価や、疾患の解明に貢献することが期待される幹細胞、オルガノイド、スフェロイドのスクリーニングに活躍しています。

 

1. 課題

スクリーニングにおける「高画質」と「短時間」の両立

創薬研究や疾病モデル研究において、「膨大な数の検体を調べ、その結果を統計処理・解析にかけて、有用なものだけを選別する」というスクリーニング作業は不可欠であり、短時間で画像が取得できる蛍光顕微鏡はそのツールとして従来から使用されています。

しかし一般的な蛍光顕微鏡の場合は、その画質の低さがスクリーニングのボトルネックとなっています。スクリーニングの指標となる蛍光シグナルが、検体が持っている自家蛍光や別平面由来の蛍光シグナルに由来するバックグラウンドに埋もれてしまうため、対象細胞の有無や形状が正確に判定しにくくなる、という根本的問題を抱えているのです。

この問題は、共焦点レーザー顕微鏡を使えば解決できます。バックグラウンドの光が無く、SN比の高い画像を得ることができるからです。しかし、一検体あたりの画像取得に時間がかかるため、膨大な数の検体をこなす必要のあるスクリーニングにおいては、実用的なツールではありません。

「高画質」と「短時間」を両立させることが、スクリーニングの現場における課題となっています。

 

長時間の単純作業が、研究活動の効率低下を招く

スクリーニングでは、検体の画像を同一条件下で取得する必要がありますが、その検体数は膨大です。たとえば、384ウェルプレートで何枚もあるという検体について、1つ1つのウェルの画像を手動で取得していくとしましょう。研究者は非常に長い時間、顕微鏡の前に拘束されて、単純作業を延々と繰り返さなければなりません。これは、全検体のデータが出るまでに時間がかかるだけでなく、本来の研究に割くべき時間が削られる、疲労やストレスの要因になる、といった問題を引き起こし、研究活動全体の効率低下を招いてしまいます。

 

2. ライカソリューション

THUNDERイメージャーにより、高画質・高速なスクリーニングを実現

ライカでは、スクリーニング作業に次世代型蛍光イメージングシステム「THUNDERイメージャー」を活用することをご提案します。

THUNDERイメージャー」は2019年、再生医療分野の研究が活発化するなか、バイオロジーを「3D」でリアルタイムに解き明かすことを目的として開発されました。ライカ独自の新しい光学演算技術「Computational Clearing」により蛍光ボケを徹底的に排除しているため、本来のシグナルがバックグラウンドの光に埋もれることのない、鮮明で高精細な画像が得られます(図1)。

(図1)「THUNDER 3D培養細胞」によるHela細胞スフェロイドの画像。Computational Clearing処理の有無による比較。
左:処理なし。右:処理あり、蛍光ボケが排除されてシグナルの視認性が向上している。

また、フル電動倒立顕微鏡DMi8をベースとする「THUNDER 3D培養細胞/3D生細胞」のComputational Clearingは、従来のDeconvolution法と比べると、画像の取得完了までにかかる時間が約1/45と圧倒的に短く、ほぼリアルタイムでの画像確認が可能です(図2)。

(図2)各手法による画像処理時間の比較。「THUNDER 3D培養細胞/3D生細胞」はDeconvolutionの約1/45。

THUNDERイメージャー」シリーズは蛍光顕微鏡をベースとしながら、抜群の計算スピードで共焦点レーザー顕微鏡像に匹敵する画質を実現する、パワフルなシステムです。

 

スクリーニングを自動化・スピードアップする各種ハードウェアにより、研究効率も向上

THUNDERイメージャー」シリーズは、スクリーニングの自動化やスピードアップのための各種ハードウェアとの組み合わせが可能です。

  • 広角かつ高感度のsCMOSカメラ。観察できる領域が広く、かつ、最大90フレーム/秒の速度で画像を取得できます。
  • 外部フィルターホイール。蛍光フィルターの波長を27m秒以下の高速で切り替えます。これは、従来の顕微鏡内蔵タイプの7倍以上の速さであり、画像取得時間の短縮に直結します(図3)。マルチカラー標識した検体の画像を複数の波長で取得する場合などは、大きなメリットとなります(動画1)。
    (図3)外部フィルターホイールと内部フィルターホイールの速度比較。3 チャネル蛍光画像取得の場合。
    (動画1)3ch蛍光画像取得の様子。左:外部フィルターホイール(高速)を使用。
    右:内部フィルターホイールを使用。
  • 高い精度を持つリニアモーターステージ。1秒間に10ヶ所のウェルに移動・観察でき、位置精度は誤差0.25µ秒以下。高速かつ正確に検体を捉えます。

従来、これらのハードウェアはPCを介して制御していましたが、「THUNDER 3D培養細胞/3D生細胞」は顕微鏡にハードウェアを直接同期させ、制御しています(図4-a,4-b)。これによって動作速度がアップし、画像取得までの時間が従来の1/5になりました。デジタル・アナログ両方の信号をコントロールできる、動作のタイミングが正確で再現性が高い、という特長もあります。

(図4-a)従来の蛍光顕微鏡カメラシステムは、PCを介してハードウェアを制御。
(図4-b)「THUNDER 3D培養細胞/3D生細胞」は、顕微鏡とハードウェアが直接同期。

スクリーニングが自動化・スピードアップできれば、全検体のデータ取得までの時間だけでなく、データの統計・分析に進むまでの時間も短縮され、結果を実験系へ素早くフィードバックできます。研究者の拘束時間も短縮されるため、研究全体の効率向上へとつながります。これは、競争の激しいライフサイエンス研究分野において、大きなアドバンテージとなります。

このような各種技術との組み合わせも含め、ライカマイクロシステムズでは今後も、THUNDERイメージャーの新分野への応用を積極的に進めていく予定です。

 

培養細胞から組織標本、モデル生物まで―ハイスループット超高精細蛍光イメージングを可能にするTHUNDERイメージャーの概要記事はこちら

 

次世代型蛍光イメージングシステム
THUNDER 3D培養細胞/3D生細胞

THUNDER 3D培養細胞/3D生細胞」は、蛍光顕微鏡の画像に発生する「蛍光ボケ」を徹底的に取り除くことにより、シャープでクリアな画像を取得できる、最新鋭のイメージングシステムです。複雑な挙動を示す生体サンプルの蛍光ボケさえも、リアルタイムに分離・除去します。培養細胞からモデル生物まで、幅広いサンプルを超高精細に観察することができ、これまでの画像取得・演算方法よりもノイズ成分の少ない画像を素早く、簡単に取得できるのが特徴です。
システムの基本構成
・フル電動倒立顕微鏡「Leica DMi8」
・スキャニングステージ
・高感度/高精細カメラ
・高輝度マルチライン蛍光LED照明
・LASXイメージングソフトウェア(THUNDER機能込み)
・ハードウェアフォーカス補正/ドリフト補正機能
※オプション選択により仕様は異なります。

次世代型蛍光イメージングシステム THUNDER 3D培養細胞/3D生細胞
ライフサイエンス

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