• Facebook
  • Twitter
  • Share
  • Share
ライフサイエンス 2024.04.26

【Micaを知る- vol.7】病理標本観察のワークフローを効率化~FluoSyncが高解像度カラーイメージングを1ショットで実現~

ライフサイエンス研究や病理学研究における組織標本の免疫染色や色素染色は、組織のコントラストを上げ視認性を向上することができます。この場合、色素による情報を取得するためにRGBカメラを使用する必要があります。しかし、従来のRGBカメラでは、オンチップ・フィルター・マトリックスにより解像度が低下する可能性があります。Mica独自のFluoSync技術はこの制限を克服し、高解像度のシングルショットRGBイメージングを可能にします。また、カラーイメージングと蛍光イメージングのシームレスな移行を提供します。撮影機能だけでなく、Micaは組織学アプリケーションにおける一般的なワークフローの課題、例えば、高速オーバービューから高解像度への迅速な移行にも対応しています。この記事では、組織学的染色と研究者が遭遇するイメージングの課題について説明します。

はじめに

生物は複雑怪奇です。その複雑さは、解剖学、器官、生理学を司るさまざまな細胞や組織を調べることによって解明されます。組織学は、組織を細胞以下の顕微鏡レベルで研究する学問であり、生物学研究の要となります。これにより科学者は、細胞の内部構造、臓器の構造、そして生命を構成する要素の根底にある機能を探ることができます。

組織染色の有用性は、組織の細胞内の詳細を明らかにする能力にあります。研究室で未染色の新鮮な組織標本を作製した場合、顕微鏡による従来の透過観察画像では、必要なコントラストが足らず標本の詳細情報が欠けています。染色により組織のコントラストが高まり、組織が持つ重要な特徴を捉えることができる様になります。これにより、病理学的に見た異常の特定など、結論を導き出すサポートをします。

 

染色はどのように行われるか

組織染色には様々な技術があり、それぞれに必要な化合物やプロトコルがあります。大きく分けて2つ、化学物質をベースとした染色と抗体を介した染色に分類されます。

化学物質による染色は、その名が示すように、色素を含む溶液に組織切片を浸すステップを含みます。これらの化学物質は特定の細胞内構造や物質に結合し、組織に色やコントラストを与えます。最も一般的な手法の一つはヘマトキシリン・エオジン(HE)染色で、世界中の組織学教室で定番となっています。

一方、抗体を介した染色は、特異的な構造をターゲットとする高い柔軟性を提供します。抗体は特定のたんぱく質やバイオマーカーを選択的に標的にします。使用する一次抗体や二次抗体はペルオキシダーゼなどの酵素で標識されることが多く、この酵素が反応を触媒して視認可能な基質を生成し、組織内に明瞭なシグナルを作り出します。

図1:ラット腎臓のHE染色

 

従来のRGBカメラによる組織標本の撮影方法

蛍光とは異なり、組織染色は肉眼で見ることができます。顕微鏡では、組織を透過する光で作られるコントラストは、標本を通過する光の位相のずれから生じます。蛍光コントラストは、同じ対物レンズを介して特定の波長を標本に照射し、返ってきた異なる波長の光を検出します。このため、暗い背景の上に明るいシグナルが見えるという、透過観察とは逆のコントラストになることになります。

ピクセルの色情報は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つのチャンネル強度のバランスで表されます。しかし、ベイヤーマトリックスセンサーを詳しく見てみると、各ピクセルは3色のうちの1色しか検出できないことがわかります。これは、あるピクセルの前にあるフィルターによって決まります。したがって、分離されたR、G、Bの情報は、結合されたRGBカラー情報にマージされなければなりません。事実、これは2×2のピクセルを1つの値に統合することで可能ですが、この場合、得られる画像はセンサーの元のピクセル数の25%にしかならず、これによって解像度が4分の1に低下します。代わりに行われるのは、各ピクセルのRGB値をその隣のピクセルから補間し(図2)、最終的な画像がセンサーのサイズに一致するようにすることです。これは確立された技術であり、スマートフォンなど様々な画像処理デバイスで一般的に使用されています。


図2:ベイヤーマトリックスセンサーの各ピクセルは、最初は1色の情報しか持っていない。他の2つのチャンネルの真の強度を測定するのではなく、隣接するピクセルから情報を補間する。

 

FluoSync-シグナルのディテールを保存

MicaのFluoSync技術は、複数のセンサーを使用しており、各センサーは単一の色を検出します。それらを組み合わせて最終画像を形成します。その際、各色はフル解像度で、つまり補間による隙間の穴埋めをすることなくキャプチャされます。これにより、蛍光とRGBの両方で、本来のフル解像度でワンショットのマルチカラー画像を可能にします。1つの検出器を使用して、妥協することなく高解像度のRGBと蛍光を画像化することができるのです。

図3:FluoSyncの心臓部であるマルチセンサーアレイは、サンプルの複数の色を同時に検出する。各色はそれぞれのセンサーで検出される。その結果、各色は近くのピクセルからの補間情報を使用するのではなく、検出器の完全な解像度で捉えられる。

 

撮影時の課題

純粋な検出という側面だけでなく、組織学的アプリケーションに共通する課題があり、Micaはそれにも対処しています。

組織学的イメージングでは、多くの場合、複数のスライドを使用し、特定の関心領域を特定する必要があります。ここでは、Micaが組織学的イメージングの複雑な側面をどのように解決し、研究者が効率的かつ自信を持って作業できるようにするかをご紹介します。

組織学的サンプルの最初の課題の1つは、1つまたは複数のサンプルの関連部分を見つけることです。研究者は、対物レンズの上にサンプルを置き、焦点を合わせ、3Dでサンプルを見つける必要があります。しかし、それでもサンプル全体を手動でスクリーニングしなければなりません。MicaのSample Finder機能は、この重要なステップを効率化し、ナビゲーションの目的で使用できるスライドのインフォーカス概要を生成します。

またMicaの Navigator機能は、衛星画像から構成されたグローバルマップのような役割を果たします。この直感的な機能により、組織を拡大・縮小することができます。撮影された画像や選択された画像を重ね合わせることで、組織サンプルのオーバービュー像を表示し、すべての撮影のローカルコンテキストも保持します。顕微鏡は、特定の位置と広い全体領域とを画像化する2つの目的を効率的に誘導することができます。

大きな組織切片を撮影する場合、常にフォーカスを維持する必要がありますが、これを実現することは困難です。Micaは、ハードウェアとソフトウェアの両ツールを組み合わせ、複雑なイメージングフローにおいても、簡単に適用できるフォーカスストラテジーを提供します。

包括的な分析をするため複数のスライド観察できるように、Micaは4枚スライドを搭載できるホルダーを提供しています。複数のスライドを効率的に管理し、画像を取り込むことができ、より高いスループットを実現します。

図4:4枚スライドホルダーを使用したアプリケーション

さらに、コントラストが十分でない場合、MicaにはIMC観察があります。IMCは、サンプルの本質的な特性に基づいてコントラストを向上させる透過観察法です。

 

結論

組織学にとって顕微鏡観察は不可欠です。組織染色は、細胞や組織の複雑な細部を明らかにする鍵となりますが、研究者にとって、カラーと蛍光イメージングのどちらを選択するかは難しい問題です。MicaのFluoSync技術は、妥協することなく、カラーと蛍光の両方のイメージングモードに対応するフルセンサー解像度のワンショットソリューションを提供します。高解像度のRGBカラー画像と精密な蛍光イメージング画像の両方の世界を手に入れることができます。

ユーザーフレンドリーなインターフェース、複数のスライドを扱えるオプション、Sample Finder機能やコンテキスト保存などにより、Micaは組織分析を行う科学者にとって理想的な選択肢となっています。これにより、研究者は細胞や組織を迅速かつ正確に調べることができます。Micaは、染色された組織標本を扱う研究者にとって、多用途でパワフルなソリューションです。革新的なFluoSync技術により、組織学的に染色された組織を簡単かつ確実に分析することができます。

 

ライカは、お客様のご研究に合った蛍光イメージングソリューションをご提案いたします。ぜひ、お気軽にお問い合わせください!

 

 

世界初のイメージング・マイクロハブ
Mica

スクリーニングから超解像まであらゆる用途の蛍光イメージングとAIによる画像解析、インキュベーターを1つのシステムに統合した、オールインワン・ワークフローソリューション。ライカ独自の技術で高精細画像を高速に取得、さらにシンプルな設定・操作ですべての研究者が簡単に画像を取得できます。

この記事をシェアする

お問い合わせ・サポート

不明点・ご質問は、お気軽にお問い合わせください。