マルチプレックスイメージングソリューションで、組織の微小環境の理解を深める
空間的バイオマーカーマッピングを可能にするCellDIVE
- 60種類ものバイオマーカーを可視化するのを可能にした特許取得済み実験プロトコル
- 組織切片の広い範囲から1個1個の細胞の局在をシームレスに識別できるイメージャー
- がん免疫研究での主要なターゲットに特異的な抗体のリスト
がん免疫療法の可能性を広げる
皆さん、いつもライカマイクロシステムズのブログをお読みいただき有難う御座います。 今回は、ライカマイクロシステムズがいままでの顕微鏡とは一風変わった製品のご提供を始めたというお話です。 みなさんは、「がん免疫治療」という言葉をお耳にされたことがあると思います。2018年のノーベル生理学賞で 本庶佑氏 と James P. Allison氏がこの「がん免疫療法」のカギとなる因子を発見したことで話題になりましたね。 私たち人類の体内では、実は毎日、数千ものがん細胞が生まれているのですが、がん細胞自身がアポトーシスという制御で死滅したり、免疫細胞によって破壊されることで、増殖が止められています。ところが様々な要因によって、がん化した細胞が生き延びると、疾患としてのがんに発達してしまいます。 この要因の一つに、がん細胞が免疫細胞に「自分を攻撃しない指令」を送るというのがあります。自分への攻撃を防ぐことで生き延び、増殖してしまうのです。この指令の仕組みをターゲットにして、がん細胞がきちんと免疫細胞に排除されるように促進するのが「がん免疫療法」の狙いとなっています。 ところが、「がん免疫療法」は、現在のところ3割程度の患者様にしか効き目がないのが現状です。この理由として、がん細胞が増えている場所の周りの環境、たとえばどんな種類の免疫細胞がいるか?また、免疫細胞が「がんを攻撃しない指令」をうけているか?などの違いによって、効く、効かないに大きな差が出ることが分かってきました。 このがん細胞と免疫細胞の戦いの舞台「腫瘍微小環境」をより精密に観察することによって、効く患者様、効きそうにない患者様の識別が可能になり、より患者様に適した治療法の選択ができるようになると期待されています。 これまで、こういったがん細胞や免疫細胞の空間的情報を観察するには、蛍光顕微鏡が使われていました。ただし1点大きな課題が残っていました。がん細胞や10種類以上も免疫細胞をそれぞれ特定するには、少なくとも1種類の細胞に2~3種類のバイオマーカー(この場合細胞特異的に発現しているタンパク質)を可視化する必要があります。ところが、これまでの蛍光顕微鏡の技術では多くても最大4~7種類程度のバイオマーカーしか検出できなかったのです。 そこでライカマイクロシステムズが提供を始めたのが、極めて多数のバイオマーカーを検出可能にするマルチプレックスイメージングソリューションCell DIVEです。
- 60種類ものバイオマーカーを可視化するのを可能にした特許取得済み実験プロトコル
- 組織切片の広い範囲から1個1個の細胞の局在をシームレスに識別できるイメージャー
- がん免疫研究での主要なターゲットに特異的な抗体のリスト
Cell DIVEは、この3つの構成からなるワークフローソリューションです。これまでの顕微鏡だけのご提供とは違って、新しい技術を実現する特許手法+機器+ソフトウェアのセットになっていますね。 これまでとは一風変わったソリューションで、がん免疫療法でのトランスレーショナルリサーチの一助になればと期待しています。 ご興味のおありの方はぜひ、弊社までお問合せください。