近年、異物分析の分野はどんどん広がっており、それに伴って対象となる異物のサイズもどんどん小さくなっています。医薬品や精密機器などの製造においては、数マイクロ~数十マイクロの異物を分析しなくてはなりません。
たとえば、ある試料を光学顕微鏡で観察して異物を発見し、次に電子顕微鏡でその異物を詳細に観察し直すといった場合、やっと見つけた異物を見失ってしまうことはありませんか?それを回避するために、光学顕微鏡で異物を見つけたら周囲に油性マーカーで印を付けておく、といった作業を行なってはいませんか?
今回は、このようなマーキング作業をサポートするツール「ライカ オブジェクトマーカー」をご紹介します。
細くきれいな円で対象をマーキング
ライカ オブジェクトマーカーは、ダイヤモンド針を使って対象の周囲に円を描くツールです。 光学顕微鏡で観察した異物の周囲に、油性マーカーとライカ オブジェクトマーカーで印を付けた画像を比較してみましょう。
- 油性マーカーの場合:線が太く不定形で、手元が狂えば、対象物の上に油性マーカーの線がかかってしまう可能性もあります。
- ライカ オブジェクトマーカーの場合:狙った位置に、狙った直径の円で、細い線のマーカーを付けることができます。
ライカ オブジェクトマーカーは対物レンズの形状をしており、レボルバに取り付けて使用します。アナログなツールではありますが、その分、操作はとてもシンプル。同じ試料を、ツールを変えて分析する場合も、観察対象の場所を探す時間が短縮できます。
シンプル操作のマーキングツール
ライカ オブジェクトマーカーの実際の使い方をご紹介します。
オブジェクトマーカーの準備
1. ライカ オブジェクトマーカーをレボルバに取り付けます。
低倍率レンズ(5-10x)の隣のレボルバに取り付けると、使いやすくお勧めです。
2. ダイヤルで、付ける印の大きさ(=直径)を設定します。
0~4mmを目安に設定します。(以下の写真では1mmに設定)
3. 先端部分の上下機構を、上の位置に合わせます。
試料の準備
4. 試料を、動かないようにホルダーに固定して、目的の観察エリアでフォーカスを合わせます。
倍率は、対物レンズ5x-10xを推奨します。
5. 観察してマーカーをつけるエリアを、視野の中央まで移動します。
このとき、試料ステージを移動させないよう注意してください。
マーキング
6. レボルバを回転し、オブジェクトマーカーを試料上に合わせます。
7. 両手で、静かに、ダイヤモンド針が試料に触れるように上下機構を下ろします。
8. オブジェクトマーカーの回転部を、両手で静かに1.5~2回転させます。
9. オブジェクトマーカーを、両手で静かに持ち上げます。
この操作で、対象の周囲にきれいな円がマーキングされます。
手順5.~9.の繰り返しで、複数のマーカーを付けることもできます。
円形のマーカーを付けられない場合は、インテリジェント顕微鏡DM6M+電動ステージ+カメラを使用すると、ステージを任意の距離だけ移動させて、異物の四隅にのみマーカーを入れることも可能です。
いかがですか?あなたもライカ オブジェクトマーカーで、マーカーマイスターを目指しましょう!