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ライフサイエンス 2022.12.16

Micaなら見える!細胞培養環境に置いた構造体の断面撮影

2022年3月に発売したMicaは、スクリーニングから超解像まで、あらゆる蛍光イメージングとAIによる画像解析までを1つのシステムに統合しシンプルな操作で結果を提供する、世界初のAll in Oneワークフローソリューションです。最新鋭の蛍光イメージングシステム「THUNDERイメージャー」の機能を標準搭載しており、蛍光ボケのない鮮明な画像を撮影できます。また、標本の自動検出・自動フォーカス機能を備えていることから、すべての観察位置で常にフォーカスの合った画像を撮影できます。
今回は、Micaを導入され、製薬会社で再生医療に関するご研究をされているお客様にお話を伺いました。

 

研究内容とMica導入前の課題

ご研究内容について少しお聞かせいただけますか?

私たちは、ジャングルジムのような構造体を持った基材に細胞を播種し、細胞が構造体の中まで入っていくか、中で細胞がどういう状態でいるのかということを研究しています。基材は何かしら多様な構造で入り組んでいて、規則正しい構造であったり、不規則になっていたりします。そこに細胞が、表面上からどう侵入していくのかを観察しています。

 

そこからどのような情報が得られることが期待されますか?

構造体の形の違いによって、細胞がどのような挙動を示すのかというところを知りたいのです。たとえば、Aという構造では細胞の分化能もしくは生存率がすごく高くなるけれど、Bという構造ではそれらが中程度、またはとても低い、などということです。

 

医療応用、再生医療に近いようなものですか?

再生医療に近いです。骨折はきちんと処置すれば治りますが、どうしても治らない場合もあります。そんなときに、私たちが開発している材料を埋め込んであげることで、より早く治すということを目指しています。細胞が中まで入りやすい構造を作ることで、細胞がよく分化して骨が治るようにする、つまり、分化の効率を構造で制御できないかと考えています。いろいろな構造体を作って、どれが一番治療効果を高めるのか、細胞の浸入や輸送、分化を通じて見ていきたいです。

 

構造体の中に立体的に入り込んでいく細胞の観察で、課題はありましたか?

使用している材料は、実は光をまったく透過しないのです。そのため、そのままでは中に細胞がいるかどうか見えません。私たちは、構造体をパキッと割って断面を観察することにしたのですが、断面がデコボコしてしまっているため、以前から使っていた顕微鏡ではまったく観察できませんでした。この断面が見える顕微鏡が必要でした。

 

装置の検討からMicaを選ぶまで

顕微鏡装置の検討にあたって、譲れない条件などはありましたか?

断面にフォーカスが合う、ということがとても大切でした。あるメーカーの製品で観察させてもらったところ、あまりフォーカスが合いませんでした。ある場所はピントが合ってとてもきれいだけど、別の場所はすごくぼやけている、といった感じで、断面がきれいに見えなかったのです。Micaは、複数のポイントをとって、それぞれオートフォーカスして均一にピントを合わせてくれますから、きれいに見えるのですね。

 

ほかにも条件はありましたか?

将来的に色素染色した組織切片も見ていきたいと考えていたので、そもそもカラーの観察ができない装置は除外しました。モノクロの装置でも観察させてもらったのですが、シグナルが暗く、断面も見えませんでした。
それから、一緒に比較した2社のカラー観察が可能な製品でタイリングしたときなどは、どちらの装置でも視野ムラによる境界線がかなり見えてしまいました。これはすごくストレスでした。一方で、Micaはモザイクの境界が目立つことはなかったですね。

 

フォーカスやタイリングのほかに、Micaの魅力はありますか?

操作がすごく簡単。誰でもできるという感じの操作性がすごくいいと思います。上から順番に使えばいい、というソフトウェアの構成が賢いですよね。世の中にある既存の装置はそんな風になってないですけど、今までどうしてなかったんだろうと思いました。複数の人間が操作するので、撮り方を簡単に習得できるものは、とても重宝します。

Micaのインターフェース。上から順番に選択するだけで画像取得ができる。

それから、製品の価格については、いま世の中に出ている他社のものとそんなに違わない印象でいて、さらに共焦点機能を後から付けられるという点は、予算的に助かります。私たちもいつか共焦点機能を付けたいなと思っています。後付けが不可能な製品では、購入時にある種の勇気がいりますよね。

 

撮影効率とメカニズムの理解、優先するのはどちら?

研究チームの中では、顕微鏡を使う際に生じたご苦労などはありませんでしたか?

みんな、顕微鏡の一般的な使用方法の知識はあります。ただ、顕微鏡にはボタンがいっぱいあるので、使いこなすために手順をマニュアル化していて、従来は、みんながそれを見ながら使っていました。やはり、ストレスを感じていましたね。一方で、Micaは上から順番に並んでいるので、一回使えば、次からはみんな操作できていました。

ただ、私もご指摘をいただいたことがあるのですが、初めて使う人が「簡単さ」ゆえに知るべきポイントをスキップしてしまうのは避けなくてはいけません。せっかくシンプル化した装置を使うのですから、ユーザーは画像取得の背景や原理をきちんと知っておくべきです。実験が上手くいかなかったときに考察が不十分になることがないよう、画像取得に至るまでの理論的な基礎知識はやはり必要ですね。

 

目的によって優先順位が異なることがありそうですね?

作業効率は私たちも重視しますが、効率よりも「結果をきちんと理解する」というところに重きを置きます。ピントが合っていないと、私たちの実験の構造体内部がどうなっているかがわからないですから。内部の様子がはっきり見えて、どんな現象が起きているかわかるなら、1日でも1週間でも試行錯誤の価値があります。そして、Micaから得られる画像は、ぼやけているということがないので、一気にその時間を短縮できる、そこが魅力なんです。

これからも、サンプル構造体の中まできちんと観察し、現象をどう考察するか、しっかり取り組んでいきたいと思います。

本日はたくさんのお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

 

 

世界初のイメージング・マイクロハブ
Mica

スクリーニングから超解像まであらゆる用途の蛍光イメージングとAIによる画像解析、インキュベーターを1つのシステムに統合した、オールインワン・ワークフローソリューション。ライカ独自の技術で高精細画像を高速に取得、さらにシンプルな設定・操作ですべての研究者が簡単に画像を取得できます。

Microhub Mica

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